| 今日も吹く伊吹颪の冷たさよ風の強さよ生きねばならぬ |
講師 |
岡本育与 |
| 誕生餅担ぎて孫は立ちており担ぎいくものは数多あるらん |
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渡辺百合子 |
| 先輩の規則正しき生き様に真似て一日を掃除で閉じる |
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山崎淳子 |
| 病室の窓辺に寄り添う雀二羽つぶらな瞳が我を慰む |
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山口 昇 |
| 人の世は心の悩みや病ありただみ仏は静かに聞きおり |
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木村久世 |
| 恵方巻買ひ来し孫が「食べてね」と笑顔で差し出す立春の朝 |
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佐野雄造 |
| 新しき花の絵柄のカレンダー予定を埋めて今年が始まる |
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勝 暁子 |
| 瓶の蓋開ける役割まだありて妻より後に死なまほしけれ |
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竹内清己 |
| さまざまな記録残して申は去る来たりし鳳凰あだやかに舞え |
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大村寿美子 |
| 山里の記憶の渦の巻き戻る釘づけになる廃屋の前 |
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加藤かずみ |
| 撫で摩る手の温もりは肌にしむ痛さ和らぎ心は和む |
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竹内久恵 |
| 元朝の庭に日出度き万両の葎(むぐら)美しく処を得たり |
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田中太平 |