広報 あぐい
2007.06.15
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阿久比町短歌の会

 
高速で南へ走る千切れ雲 南方浄土があるやもしれぬ 岡本 育与
里芋の親子孫らをときはなし今年も孫つれ育てと植える 竹内 久恵
うた詠むも生きてこの世に在る証明(あかし)桜吹雪に戦友(とも)の死思ほゆ 田中 太平
ひと言を言わぬばかりにひと言を言ひしばかりに糸のもつるる 長坂吉余子
荒波が岩にぶつかり舞い上がる鈍色(にびいろ)の空に冬の花咲く 新美 功子
我が人生六十年を顧みて採点するなら何点だろう? 橋立 智子
しでこぶし木蓮匂ふを眺むれば万象(ばんしょう)極楽思ふ老齢(とし)となり 桃井 昌子
散り急ぐ桜の花びら()に受けて玉砕の兄を(しば)し偲びぬ 山口  昇
休む前ごくろうさまと足の裏第二の心臓やさしくほぐす 山崎 淳子
しあわせと思う心に寒さなど忘れてしまう外は吹雪けど 山本きさ子
もっこりと土持ち上げてじゃがいもの小さき芽のぞく春の気配に 渡辺百合子
亡き母を偲べば瞼に浮かびくるたすきを掛けし丸き背中が 佐野 雄造


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