広報 あぐい
2006.1.15
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幼・保・小・中一貫教育プロジェクト

シリーズ(2)

□問い合わせ先  学校教育課 TEL(48)1111(内202)

図書館で絵本の読み聞かせを楽しむ幼稚園児

授業中の小学生

今回は、プロジェクトで研究し、明らかにしていく内容について説明します。

5.研究内容

(1)現行の幼稚園・保育園3年間、小学校6年間、中学校3年間の区切りについて研究します。

最近の幼児・児童生徒の体と心の発達については、次のような特徴が見られます。

児童生徒の身体的発達面では、10〜11歳前後に、女子が第2充実期から第2伸長期への移行があります。5〜6年生で半数以上に初潮が見られるなど、思春期を迎えます。また、男子の身長や体力診断テストの結果もこの時期から伸び始めます。

思考面については、単純で具体的な考え方をする子どもが、11歳前後から少しずつ複雑で抽象的な考え方もできるようになります。

中学校2年生ごろから、青年期特有の考え方をするようになり、人間らしい生き方や自己を生かす能力に強く興味を持ち始めます。

このほかに、教育心理学では、「5年生ごろからは、自らの学習成果を自覚できるようにし、学んだことを仕事や生活に生かしていける学習を取り入れることが大切である」ということが言われています。

脳科学の分野では、「小学校低学年の段階で、認知、情動、記憶など、人が生きるために重要な機能をもつ脳の前頭前野を活性化させると、ほかの脳にも刺激が与えられ、コミュニケーション力、考える力、自立心が身に付く」ということが言われています。

現在では、一般的に小学校の4年生と5年生、中学校の1年生と2年生で大きく変化が見られます。

阿久比町における児童生徒の実態はどうなっているのかを把握し、適切な区切りについて研究していきます。


(2)幼稚園・保育園と小学校、小学校と中学校との連携の在り方について研究します。

通う学校が変わり、指導方法が変わり、学習内容も変わり、友達関係も変わるという、何もかもが大きく変わるのが、現状です。

  • 1日の大半を机に向かって学習するようになります(小学1年)
  • 学級担任制から教科担任制に変わります(中学1年)
  • 全員部活参加(原則)が始まります(中学1年)

小学校6年生と中学校1年生を比べると、不登校の数が3倍以上に増加する現状があります。

阿久比町の幼稚園・保育園と小学校1年、小学校6年と中学校1年のギャップの実態を把握し、そのギャップに対応するための具体的な方法を研究し、明らかにします。


     

学習内容に関する
幼・保・小・中一貫教育イメージ
拡大図はこちら(48KB/46,122バイト)
     

(3)幼稚園・保育園・小学校・中学校の果たすべき責任内容について研究します

○基本的生活習慣(食育を含む)の確立について
・それぞれの年齢における学校・園・家庭における生活習慣で、確立させておくべき基本的事項(家庭で・個人で・集団での基本的事項)
○教科学習について
・それぞれの年齢における教科学習内容の基本線
・それぞれの年齢における学習態度(家庭学習も含めて)
・小中学校の各年齢において扱う発展的な学習の具体的な内容
・その他
※「基本線」(ミニマムカリキュラム)について
学習指導要領の内容をすべての児童生徒に確実に定着させることが本来の目標です。しかし、現実として中学生でもかけ算の九九が十分でない生徒もいます。これは、各学年の担任・保護者が責任を果たしていないと言えます。
この状況を変えるために、少なくともこの内容だけは、その学年の児童生徒に確実に定着させないと、その後の授業にほとんど参加できない状況になるといった内容を明らかにし、確実に定着させる必要があります。
担任・保護者は、最低限の責任を果たして、次の学年に送り出すようにします。この「基本線」は次第に内容が多くなり、最終的には学習指導要領の内容になることが目標です。
小中学校で、すべての児童生徒が楽しく授業に参加できるようにするために、各年齢で身につけさせる各教科の基本線を明らかにします。
全教科が目標ですが、まずは小学校高学年や中学校で困っている実態から、緊急に取り組む必要がある教科を明らかにし、その基本線を明らかにします。
○道徳・健康教育について
・それぞれの年齢における道徳教育の重点
・それぞれの年齢における健康教育(性教育・薬物乱用防止教育含む)の重点
○総合的な学習の時間における小学校と中学校で育てる力について
・4小学校で育てる力(共通する力と各学校独自の力)
・阿久比町の特色(農業・自然など)を生かした小中一貫した単元の開発
・英語活動と教科英語の連携

(4)幼稚園・保育園・小学校・中学校が責任を果たすための方法について研究します。

○幼稚園・保育園・小学校・中学校の共通理解の方法について
・連絡協議会の設置
・幼保小交流行事、小中交流行事、幼保小中交流行事の新設
・幼保小保育・授業研究会、小中授業研究会
・幼保小中間での相互の授業・保育体験実習
・幼保小中懇談会
・人事交流 など
○家庭・幼稚園・保育園・小学校・中学校の指導方法について
・4歳から15歳までのそれぞれの発達段階における学習習慣のあり方
・4歳から15歳までのそれぞれの発達段階における効果的な指導形態(個別指導・グループ指導・少人数学級・習熟度別指導・TT指導・教科担任制など)
・0歳から15歳までのそれぞれの発達段階における命の教育・心の教育のあり方
・0歳から15歳までのそれぞれの発達段階における食育のあり方
・4歳から15歳までのそれぞれの発達段階における礼儀・作法のあり方
○幼稚園・保育園・小学校・中学校の指導の検証方法について
・中学校における生徒の姿の変容で検証
・不登校・いじめの数の変容
・中学卒業後の生徒の進路の変容(定職につく数の変容)など
※9年から12年の期間での検証が必要であると考えています。
○幼稚園・保育園・小学校・中学校指導の検証結果の公表方法について
・阿久比町の幼・保・小・中すべての学校・園の公開日を作り、参観してもらい、参観者との研究協議を行う予定。

次号では、プロジェクトの組織についてお知らせします。


□問い合わせ先
学校教育課 TEL(48)1111(内202)
阿久比町教育委員会のホームページにも掲載してあります。


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