広報 あぐい
2005.06.01
バックナンバーHOMEPDF版 ダウンロードページへ

阿久比町短歌の会

 
知人への転居通知を書く夕べ故郷(ふるさと)追われし心が疼く 講師  岡本 育与
立春の庭に亡夫(おっと)の気配してふりむき見れば山茶花の散る 長坂吉余子
もみぢの手広げて孫らは押もんを粘土細工の発表気分で 新美 功子
啓蟄が過ぎたよ我も暗闇より春の日差しを浴びにゆこうか 橋立 智子
富士テレビライブドアへの攻防に黒船襲来幕末を偲ぶ 桃井 昌子
「おれ流」に作りし味噌汁に病む妻はポットの白湯(さゆ)をそっと足したり 山口  昇
ストーブにて豆を煮ながら意のままにのたりのたりと一日過ぎゆく 山崎 淳子
掌に数えつのせる年の豆大山となりやがてこぼるる 山本きさ子
「頑張らない」私でいいと思いつつのんびりゆっくり新聞を読む 渡辺百合子
寒空に裸でもみ合ふ男達弾けるエネルギー舞ひ上がる湯気 佐野 雄造
言葉ひとつ良きも悪しきも重きもの受けたる人の心騒がす 勝  暁子
朝には「あさ」夕には「ゆう」の薬包より飲ませて老母のひと日を看取る 竹内 清己


<<前ページへ ▲目次ページへ 次のページへ>>