町ホタル専門員 若山 志玄

養殖場のセリ
今年度の目標の1つ目は「ホタルを頂点とする食物連鎖を養殖場内だけで完成すること」です。ホタルの成虫は歌にあるように水をなめるだけです。その前の蛹の時は変態をするのみです。成虫と蛹のエネルギーの源はすべて幼虫の10カ月の間にどん欲に食べた「モノアラガイ・カワニナ・タニシなど」の貝です。この貝は植物などを食べます。今までの実験で、水槽の貝のエサとしては、パセリが1番好きなようです。2番目はレタスです。自然界での淡水の貝の食料は、藻や枯葉などですが、養殖場では水質が悪化するために使えません。今は水生植物のセリを栽培しています。何が良いか模索中です。
5月21日の新聞に「自然界で43年ぶり・コウノトリのひな誕生」とあり、コウノトリの親とひなが野生で自立して生活していくには、「湿地の確保・無農薬農法などの環境整備に課題」とありました。阿久比町では「ホタル分布図」が自然環境の保全の尺度だと言えると思います。
5月には、終齢になった幼虫を養殖場へ放流しましたが、自然界のホタルの増殖のためには、次の(1)〜(6)の条件を満たす水辺に11月ごろに放流するのが理想です。そして「ホタル分布図」が緑色いっぱいに塗られると素晴らしいです。
(1) エサとなる淡水の貝が生息・繁殖している。
(2) 良好な水質である(洗剤や農薬に汚染されていない)。
(3) 溶存酸素が十分ある。
(4) 産卵できるコケ(植物)がある。
(5) 中州や土堤(蛹になる場所)がある。
(6) 人工照明がない。(橙や赤の光は無害)
以上のように自然が豊かでホタルの放流に適した場所は、人にも優しく住み良い環境だと思います。こんな水辺に幼虫を放流するためには、1万匹以上の幼虫を養殖することが必要条件です。幼虫1万匹が2つ目の目標です。 |