第1 請求の受理 |
本請求は、所要の法定要件を具備しているものと認め、平成22年3月16日、これを受理した。 |
第2 請求人の証拠の提出及び陳述 |
地方自治法第242条第6項の規定に基づき、平成22年4月26日に請求人に対して証拠の提出及び陳述の機会を設けた。なお、新たな証拠の提出はなかった。 |
第3 請求の趣旨 |
請求書に記載されている事項及び陳述の内容から、請求の趣旨を次のように解した。 |
第3供給点造成等実施設計業務委託(平成20年10月16日付け委託契約締結)に係る業務のうち用地測量業務の境界確定測量業務において、隣地地権者と境界確定の立会いが完了していないことと、これに伴う境界杭の設置及び確定測量図の作成が完全に完了していないにもかかわらず、委託業務完了として支出された契約代金のうち完了していない業務に係る契約代金については不当な公金の支出にあたる。 |
よって、この公金の適正な返還と境界確定業務の完全遂行するよう求める。 |
なお、請求人に返還すべき金額についての提示を求めたが、計算は出来ないとのことであった。 |
第4 監査の方法 |
請求書の事項について上下水道課長から事情を聴取するとともに、関係書類の監査を行った。 |
第5 監査の結果 |
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1 主文 |
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請求人が返還するよう措置を求めた完了していない業務に係る契約代金の返還と境界確定業務の完全遂行については容認し、その他の請求については却下する。 |
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ただし、請求人の意とする請求事項は既に平成22年3月24日付け「平成20年度第3供給点造成等設計業務委託に係る報告書」による町議会への報告並びに委託業者との未履行業務に関する「覚書」の締結により完了したものとする。 |
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2 事実関係 |
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請求人から提出された証拠及び関係職員事情聴取などから、次のとおりの事実が認められた。 |
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隣地地権者と境界確定の立会いが完了していないにもかかわらず委託業務完了とした経緯及びその理由については、当初一部隣地地権者の立会い協力が得られなかったが、その部分に関しては平成2年に法務局に提出された地積測量図があり、そのデータから境界が復元できることと、この境界に基づく測量図があることで、職員は業務が完了したと判断した。 |
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後日指摘を受けて調査確認した結果、地積測量図から復元した境界であっても隣地地権者の立会いが必要であることが判明した。 |
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町は、この事実記載に誤りがあったことを認め「平成20年度第3供給点造成等設計業務委託に係る報告書」により町議会に報告し、未履行業務に対する契約代金の返還並びに速やかな未履行業務の遂行について委託業者と「覚書」を締結した。 |
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返還されるべき公金の金額は、次のとおりである。 |
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なお、この金額については「平成20年度第3供給点造成等設計業務委託に係る報告書」により町議会に報告されており適正と思われる。 |
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境界点間測量 |
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56,208円 |
面積計算 |
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75,515円 |
用地実測図作成 |
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53,352円 |
小計 |
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185,075円 |
安全費(小計×3%) |
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5,552円 |
技術管理費(小計×9%) |
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16,657円 |
直接測量費 |
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207,284円 |
諸経費(直接測量費×72.7%) |
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1506,95円 |
計 |
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357,979円 |
計×元請端数按分率(0.99841058) |
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357,410円 |
合計金額(税込み) |
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375,280円 |
合計金額×請負率(0.86798) |
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325,735円 |
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この「覚書」に基づき委託業者から平成22年3月31日に未履行業務に対する契約代金325,735円 が町に返還され、未履行業務の遂行に向けて準備が進められている。 |
監査委員の意見 |
監査結果は以上のとおりであるが、町当局における設計業務委託事務の処理に関し、次のとおり意見を付するものとする。 |
1 |
町長並びに町関係職員は、今回の隣地土地境界立会い未処理という事態を厳粛に受けとめ、今後設計業務委託に関しては常に状況把握に努めるとともに立会い未処理というような事実を確認した場合には、問題を先送りすることなく適切な対応に努める必要がある。 |
2 |
町長及び幹部職員は、今後このような事案が二度と発生することが無いように管理監督を遂行するよう強く要望する。 |