西の空がオレンジ色にそまって、ひがしずんでいきました。
いいもりやまの広場は、星がよく見えました。リスは、広場のすみでずっと空を見つめています。たぬきとにわとりとぞうは、とてもしんぱいです。
「ねぇ、リス君どうしたのかな」
たぬきがちいさな声で言いました。
「今日は、1日中ブツブツ言ってたぞ。おれ聞いてくるわ」
にわとりは、リスに近づいて聞きました。
「リス君、どうしたんだよ」
リスは、ためいきをつきました。
「う〜ん、ながれ星をまっているんだよ」
「ながれ星?」
ぞうは耳をパタパタさせました。
「ながれ星に3回ねがいごとが言えないとかなわないんだって」
「それでブツブツ言ってたのか」
にわとりは、羽をバタバタさせました。
「リス君、ねがいごとって何なの」
たぬきは、リスのかおをのぞきこみました。
「ひみつだよ。教えるとねがいごとがかなわなくなるんだよな」
リスはすまなさそうに言いました。
1時間たちました。空は、星でいっぱいになりました。ほうせきばこをひっくりかえしたみたいにきれいでした。
2時間たちました。ながれ星は、あらわれそうにありません。
「リス君、今日はかえろうよ」
たぬきとにわとりとぞうは、なごりおしそうにふりかえるリスを、つれてかえりました。
次の日、昨日と同じ場所で、リスは昨日より元気がありませんでした。
「リス君のお母さんがびょうきなんだって」
たぬきは、お母さんから聞いたことを話しました。
「リス君は、お母さんが元気になるようにねがってるんだよ」
ぞうははなをふりました。
「ぼくたちでながれ星を作ろうよ」
たぬきとにわとりとぞうは、一生けんめい考えました。
星が見えてきました。
「ぼくははらづつみをするよ。ポンポコ、ポンポコ、ポンポコ」
たぬきは、はらづつみを打ちつづけました。
「コケコッコー、コケコッコー、コケコッコー」
にわとりは、声がかれるまでなきました。
ぞうは池から水をすいこんで来て、星めがけてとばしました。星がびっくりして、ながれ星にならないかとおもったのです。
星はなにごともなく、キラキラまたたいています。
「みんなありがとう。今日はもうかえろう」
リスはみんなをつれてかえりました。
次の次の日も星空でした。
ぞうは、竹やぶでささを取ってきて、たぬきとにわとりといっしょに、広場に行きました。リスは、やはり星を見つめています。
ぞうは、たぬきとにわとりにささをわたして、言いました。
「たぬき君、にわとり君、ぼくのはなに乗って」
たぬきとにわとりがはなに乗ると、ぞうは空に向ってはなをのばしました。
「早くささをふれ」
たぬきとにわとりは、一生けんめいささをふりました。
「おーい、ながれ星こーい」
すると、空がいっしゅん明るくなりました。
そして、ひとすじ星がながれました。
「あー、ながれ星だ」
「リス君、早く言えよー」
たぬきとにわとりとぞうがさけびました。
「お母さんのびょうきをなおして、なおして、なおして」
リスは、声をはりあげました。
「リス君、やったね」
「やったー」
たぬきはこおどりし、にわとりはとびはね、ぞうははなをふりました。
リスのお母さんはげんきになり、リスにいつものえがおがもどりました。
しろやま会員 木村 久世 |