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2014.10.15


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住民の手で守り継がれる伝統行事 “阿久比谷虫供養”

〜まちの話題〜

「阿久比谷虫供養」が9月23日、宮津公民館の敷地内で開かれました。気持ちの良い秋晴れとなった当日は、伝統行事を一目見ようと集まった多くの人でにぎわいました。

阿久比谷虫供養は、農作業で犠牲になった虫を供養するために念仏を唱えたことが始まりといわれており、平安時代の終わりごろから続く民間信仰行事です。そして、知多市・常滑市の「大野谷」と東浦町の「東浦五ヶ村」とともに、昭和58年に「知多の虫供養行事」として愛知県の無形民俗文化財に指定されています。

現在は、町内13地区で当番を持ち回り、今年は宮津地区の担当です。1年前に板山地区から引き継いだ供養の道具一式は、寒干しや土用干しなどを行って大切に保管されてきました。

会場には大道場と八つの小屋が設けられました。町指定文化財に指定されている12幅の掛け軸などが飾られ、朝からかねや太鼓の音が響き渡りました。

公民館の屋根に届くほど高い大塔婆付近には、小さな子どもを連れた親子の列ができました。大塔婆の前に敷かれた砂山を乳幼児に素足で踏ませると「かんの虫封じ」や健やかに成長できるという言い伝えがあるからです。

子どもたちによる囃子はやしの奉納後、午後1時から大道場で虫供養念仏が始まりました。導師の先導で約30人の同行衆が2時間に渡り、百万遍を唱和しました。

百万遍念仏が終了し、夕方になると供養場の小屋が次々と片付けられ、今年の虫供養は、いよいよ終わりのときを迎えました。そして、来年の当番に当たる萩地区への引き渡しが厳粛な雰囲気の中で行われました。道具などを一つ一つ確認し、引き渡しを受ける萩地区の皆さんは、伝統行事の重みを感じ、引き締まった表情でした。

伝統行事の虫供養は、今年も住民の手で盛大に行われ、無事に来年へと引き継がれていきました。


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