広報あぐい

2013.12.01


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阿久比町短歌の会

永年の願いでありし出羽三山老いしわが身を鼓舞して登る 岡本 育与
夜明け前老犬と共に散歩する杖をたよりに足下照らし 橋立 智子
年齢とし故に耳目何かと意に外れ自ら歯がゆく臍をかむ日々 大村寿美子
なしくずしに老いを重ねる日々の中四季折々の花を愛しむ 加藤かずみ
そよ風に木犀の香りが流れきて路ゆく人の足をとどめぬ 山口  J
ゆらゆらと風に遊べり秋の陽にかよわき茎の風船蔓 竹内 久恵
艶やかな蜜柑の実の如ころころと子供ら駆けゆくお花畑を 佐野 雄造
夕暮れを寂しと云いし祖母のこと思い出される秋の夕暮れ 渡邊百合子
尋ぬれど尋ぬれどなほ行き暮れぬ災後の町は標なき町 三留  享
日照りにて今年の柿は小粒なりぐ主待つや色増し輝く 桃井 昌子
明くる間の朝陽を緑の葉に留め夜半に降る雨知らせておりぬ 山本きさ子

苗代句会

十月作品
秋高し吾に余生といふ未来 岡戸 隆明
改築の決まりし庁舎小鳥来る 溝ロスミ子
温泉の宿に栗の一枝の活けられて 下内のぶゆき
新藁や使い込まれた土間の石 安井まこと
せぬ里より新米届きたり 北中 祥子
葱植ゑて吾が極上のひまつぶし 菅原ルリ子
星月夜重ね合ひたる別れの手 新美 京子
庭下駄のつま先濡らす草の露 赤津 千城
身の丈に合ひたる暮し秋刀魚焼く 前田 泰男
秋の水水車静かに馬籠宿 深谷  靖
この道のふと懐かしく野紺菊 新美 弘子
秋天にバルーン揺らして客招く 豊田 定男
雨上がり銀杏並木の実の匂ふ 井本 庄一
独り身の俎板まないたを干す秋日和 名倉 英二
竜胆の彩の深さや山日和 森  禎史