広報あぐい

2012.10.15


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念仏を唱えて“虫供養”

〜まちの話題〜

「阿久比谷虫供養」が9月22日、興昌寺(福住)で開かれました。当日は好天に恵まれ、トンボが飛び交う会場は、伝統行事を一目見ようと多くの人でにぎわいました。


百万遍念仏を唱える同行衆


砂山を踏む子ども


小屋を回り参拝


道具を確認しての引き渡し

「阿久比谷虫供養」は、知多市・常滑市の「大野谷」と東浦町の「東浦五ヶ村」とともに、昭和58年に「知多の虫供養行事」として愛知県の無形民俗文化財に指定されています。

農作業で犠牲になった虫を供養するために念仏を唱えたことが始まりといわれる虫供養は、平安時代の終わりころから続く民間信仰行事です。

現在は、町内13地区で当番を持ち回り、今年は福住地区が担当です。1年前に白沢地区から引き継ぎ、寒干しや土用干しなどを行って大切に保管してきた供養の道具一式がいよいよ出番のときです。

会場には大道場と8つの小屋が設けられました。道場や小屋には、町指定文化財の12幅の掛け軸などが飾られ、朝から かね や太鼓の音が響き渡りました。

本堂の屋根を超えるほどの高さで立つ大塔婆付近には、小さな子どもを連れた多くの人の姿がありました。大塔婆の前に敷かれた砂山を乳幼児に素足で踏ませると「かんの虫封じ」や健やかに成長できるという言い伝えがあるからです。訪れた人たちは子どもに砂をしっかりと踏ませていました。

太陽が高くなるにつれ、夏を思わせる強い日差しが照り付ける陽気の中、子どもたちによる囃子はやしが奉納され、午後1時から大道場で虫供養念仏が始まりました。

本堂内もじんわりと汗ばむほどの暑さとなりましたが、導師の先導で約30人の同行衆が2時間に渡り、百万遍を唱えました。会場には念仏の大合唱が響き渡っていました。

百万遍念仏も終了し、午後4時を過ぎると、供養場の小屋が次々に取り壊されていきました。今年の虫供養も終わりのときです。一方で、来年の当番に当たる板山地区への引き渡しが厳粛なムードの中、道具などを一つ一つ確認しながら行われていました。

すっかり日も暮れた午後6時、福住地区の皆さんに見守られながら帰途に就く板山の隊列。こうして虫供養は今年も盛大に行われ、無事に来年へと引き継がれるとともに、伝統は守られました。

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