広報 あぐい
2010.06.01
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阿久比町短歌の会

 
アメンボの水面に作る波紋伸び春は長閑に知多野をめぐる 岡本 育与
おちこちの桜花の便りは届けども吾家のさくらいまだ笑まわず 大村寿美子
この花を見ずして逝きし友のありいつも笑顔の明るき友なり 渡邊百合子
大根が身を乗り出してうまそうな白き肩出し背伸びして立つ 竹内 久恵
草もちをためらいつつ食むもう一つ祖母への想いと春を味わう 加藤かずみ
ロウソクの炎が隔てる生と死は我が越えられぬ線と成りたり 木村 久世
風向きを変へて黄砂を返したし車はきな粉まぶしたやうに 奥田 貞子
茶碗むし味噌汁サラダにエビフライ回転ずし業進化めざまし 長坂吉余子
人恋うは哀しきものと知りぬるは『野菊の墓』を読みしそのころ 三留  享
不況時に閉じられていし工場の窓ひらけるを少し安堵す 勝  暁子
うぐいすの初啼き聞きし弥生十日土筆たらの芽香りを食す 山崎 淳子
生きてゐる限り悩みはついてくる一度あの世を眺めて見たし 佐野 雄造


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