蓮枯るる蒼天一穢なかりけり |
岡戸 隆明 |
手袋の指に届かぬ小さき手 |
菅原ルリ子 |
マスクしてマスクの人を避けてをり |
前田 泰男 |
暮れ早し竿先染める夕日かな |
豊田 定男 |
しばらくは脱ぎし手袋ふくらみて |
北中 祥子 |
冬日得し戸口の護符の白さかな |
新美 京子 |
朝夕に山茶花掃くも易からず |
溝口スミ子 |
手袋の具合確むグーとパー |
赤津 千城 |
父母の遺影に問へる冬座敷 |
新美 弘子 |
表札の剥がされし門花八手 |
深谷 靖 |
女医の目のやさしく笑まふ大マスク |
新美八枝子 |
短日や赤提灯のはや灯る |
下内のぶゆき |
番屋から男の声の焚火かな |
井本 庄一 |
二度三度手袋探す庭仕事 |
安井まこと |