爛漫の春は短し転寝の覚めきらぬままに六十路の下り |
講師 岡本育与 |
悲し身を慰めているもう一人わたしがいたよ花いちもんめ |
桃井 昌子 |
ガソリンの値上げは辛し今日からは夕餉のビール半分にしよう |
山口 昇 |
ガソリンの値上げに始まり何もかも弱者に厳しい淋しい社会 |
山崎 淳子 |
座してみる玻璃窓に映る新緑が歩けあるけと吾れをいざなう |
山本きさ子 |
すやすやと眠るみどり児抱きいて静かなる時過ぎてゆきたり |
渡辺百合子 |
母親と一つ傘にて行く幼時々見上げぬにこにことして |
佐野 雄造 |
夕映えの色合い愛でて立ち止まり一日の終り豊かに眺むる |
木村 久世 |
今は亡き母の植ゑたる紅の芍薬ひとつ仏壇にあり |
竹内 清己 |
物々し警備の垣に囲まれて聖火ランナー世界を走る |
大村寿美子 |
留守番も疎かならず軽財布ねらいし人や電話が鳴りぬ |
奥田 貞子 |
廃品と思い切れずに幾度も眺めし納戸のダンボール箱 |
勝 暁子 |