如月の光が背なを温むるも身を切る冷たき墓原の風 |
講師 岡本育与 |
ひたすらに春の訪れ待ちわびてコートの下に春色を着る |
木村 久世 |
枯れ葦の間に浮かぶ小舟には夜来の雪を乗せて静もる |
竹内 清己 |
薄味の嫁の手料理謝しつつもそっと一さじ吾が味加う |
大村寿美子 |
懐かしい響きもて聞く「美しい国」言ひたる男遙かとなりぬ |
奥田 貞子 |
気がつけば心の底にメロディーが千の風吹く母の三回忌 |
加藤いずみ |
五月晴れ元気に育つ人の子も親の苦労知るよしもない |
竹内 勝吉 |
琴の音に香りも増してほんのりと盆梅の姿艶やかなりき |
竹内 久恵 |
この日頃日脚延びしと思ふさへこころ和みて亡妻と向き合ふ |
田中 太平 |
天と地を一つになして春の雪浄くしづけくひもすがら降る |
長坂吉余子 |
一人逝き二人目も逝くこの頃は私の番かとさみしさつのる |
新美 功子 |
根力の威風堂々盆梅の魅力にひかれし大倉公園 |
橋立 智子 |