さはあれど冬には来にけり昨日より確かに朱くなりたる蔦の葉 |
講師 岡本 育与 |
みなれたる遠山今日は美しく錦まといぬ尋ねゆきたし |
渡辺百合子 |
人は皆会えば別れが来る事を悟りながらも日々は過ぎ行く |
竹内 勝吉 |
来る春の若芽の幸せ祈りつつ美しき紅葉は地に還りゆく |
佐野 雄造 |
いつからか置かれしユンボに巻きつきし蔦も真っ赤に色づきており |
勝 暁子 |
メンデルの法則秘むる豌豆を冷え込む朝蒔付けしたり |
竹内 清己 |
「かぐや」より月の出ならぬ地球の出どこまで進む人智のきわみ |
大村寿美子 |
「一番よ貴女が決めた所なら」押し付け上手に又押し切られ |
奥田 貞子 |
脚立たて身丈に足して天窓を拭く仰ぎみる空は青き折り紙 |
加藤かずみ |
携帯の留守電の声元気なり 亡くなりし事夢で有りたし |
木村 久世 |
そよ風に葉ずれの音のさらさらとススキの銀波に夕暮れせまる |
竹内 久恵 |
図書館は静かなる河ここに来てひそと流るる孤愁を愛す |
田中 太平 |