縁側(エンガワ)のはなし
寒い日には、縁側で日なたぼっこでも……今回はそんな「縁側」のお話です。
最近では縁側のある家がずいぶん少なくなりました。昔の農家では「デエ(仏間と座敷をかねた部屋)」の南側に3尺(90cm)幅の縁側と呼ばれる廊下を備えていました。「ダイドコ(玄関から入り、最初の部屋。居間で台所ではありません)」の南側まで縁側が付いている家もありました。
家の南側に造られるため日当たりがよく、お年寄りが機織りや近所の人たちとお茶を飲みながら会話をする場所でした。
嫁にいくときも縁側から出ていき、嫁入りするときも縁側からデエに入りました。葬式のときは縁側から棺を出し、僧侶も縁側からデエに出入りしました。そのため、縁側の外には必ず石の踏み台が置かれていました。
大きな家の場合は両縁側といって、ナンド(寝室)やオカッテ(食堂兼居間)の北側に設けることがありました。縁側はどちらも庇を出して造るのが普通でした。
縁側はその「家」や「家族」の出来事をしっかりと、そして静かに見守ってきました。
(参考 阿久比町誌資料編8「民俗編」) |