広報 あぐい
2008.02.01
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あぐいぶらり旅
〜ふれあいマップを歩く(於大の方コース 2)〜

シリーズ 阿久比を歩く 69

 

於大の方コース
 
坂部城跡に建つ町立図書館


阿久比スポーツ村野球場

陸上競技場のフィールドの芝は薄茶色。鮮やかな緑色に変わるまでにはもう少し時間がかかりそうだ。第4チェックポイント「阿久比スポーツ村」の敷地を歩く。

野球場を見ながら、「実はここで野球をしたことがあるんだ」。友人に少し自慢げに話す。「どんな感じだったんですか」と尋ねられ、「広くてプレーするには最高な場所だね。打席にも3回立てて、気持ちよく三振できたよ。あのときのピッチャーがさあ……」。しばらく私の一方的な野球談議で盛り上がる。球春が待ち遠しい。

於大の方ゆかりの地へ向かう。細道の坂を下ると第5チェックポイント「洞雲院」が見えてきた。

洞雲院は徳川家康の生母、於大の方が嫁いだ久松家の菩提寺。知多四国八十八カ所第15番札所でもある。境内には町指定文化財「久松・松平家葬地」があり、その中に於大の方の遺髪墓もある。

葬地に行ってみる。鳥のさえずりが響き渡る。10年前から1人で知多四国を巡っているという年配の女性に出会う。於大の方が“わが子家康”の幸せと女性の幸福招来をこの寺で祈った話を知り、毎回遺髪墓の前で手を合わせるとのこと。「静かな、いい場所ですねえ」と笑顔で言葉を残し、私たちの前から立ち去る。女性は於大の方に何を語り掛けたのだろうか。少し気になった。

第6チェックポイント「坂部城跡」は洞雲院から少し歩いた場所にある。現在は城山公園となっている。第7チェックポイント「町立図書館」とは隣り合わせにある。

於大の方は家康を生んだ後、天文16(1547)年坂部城主久松俊勝と再婚。政略結婚のため幼い息子と離ればなれとなる。家康は桶狭間の戦いを控えた永禄3(1560)年母に会うために坂部城に立ち寄ったと言われる。

公園を通り抜け、図書館をのぞくと、母親が幼い子に絵本を読み聞かせている姿を目にする。「於大の方が見れば、うらやましい光景でしょうね」。珍しく友人が真剣な面持ちで話す。「そうだよね…」。今回は最後に少し“考える”ぶらり旅となった。

次の日「絵本を読んでいたお母さん、きれいでしたよね」と友人が私に話し掛けてきた。(あの時の真剣な友人の面持ちは何だったのだろうか。)



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