広報 あぐい
2007.07.01
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海と空のあいだ

〜みんなの童話〜

 

ねえねえ、みんなのほいくえんもおひるねってあるの?
ぼくのほいくえん、おひるねがまいにちあるんだよ。
でも、ぼく、おひるねだいきらい。だって、きゅうしょくたべたらすぐおひるねなんだよ。
ぼく、いつもおしゃべりしてるから、きゅうしょくたべるの、ものすごくおそいんだ。
だから、いつも、ともこせんせいが、
「ゆうくん、あと5ふんでおかたづけだよ。もうたべれた? はやくたべてね」
っていうの。
そうすると、はやくたべようとおもうんだけど、よけいのどにつまってたべれないの。だから、ねるばしょは、いちばんすみっこ。
ともこせんせいは、みんなをねかしつけようと、ほんをよんでくれたり、うちわであおいでくれたりするけど、それでもぼくは、なかなかねむれないの。でも、みんなすごいんだよ。まるで、ともこせんせいのまほうにかかったみたいに、あっというまに、スースー、ねむっていくんだよ。
みんな、もうねたんだ。でも、ぼくはまだねむたくないもんねって、うごいていると、
「ゆうくん、ごそごそしない。みんなねたよ。ゆうくんもめをつむって」
と、ともこせんせいが、ぷーとほっぺをふくらませて、ぼくのかおにせまってくる。
ウワーおこってるー、いそいでめをつむるの。これがいつものこと。
あーあ、はやくおひるねのじかんがおわらないかなあと、ごろごろからだをうごかしていたら、となりでねていたみよちゃんが、
「ゆうくん、ねれないの? そんなとき、めをつむって、なにかたのしいことおもいだして、ねむったふりするといいよ」
と、ないしょばなしでおしえてくれた。
「ふーん。なにかたのしいことか。そうだねー…」
といいながら、めをつむってみたんだ。しばらくするとね、めのまわりがなにかほわーとあったかくなってきたんだ。
「あれっ、ぼく、プールでおよいでる。すいすいおよいでる。あっ、イルカもおよいでる」
「おーいイルカくん、いっしょにおよごう」
「ウィ! ぼくにつかまってもいいよ」
「いいの? やったーぼく、およぎのめいじんになったみたいだ。すごいすごい」
ぼくは、もっともっと、てをおおきくかいておよいだの。そのとき、
「いたい。せんせい、ゆうくんがわたしのあしひっぱったー」
「ゆうくん、かよちゃんがいたいって!」
ともこせんせいのおおきなこえ。
「え?」
ぼくは、びっくりして、どうしてって、おもった。だって、ぼくは、イルカといっしょにおよいでいたんだよ。
もしかして、ぼくは、ゆめをみてたの?
イルカとおもったのは、かよちゃんのあしだったの?
ともこせんせいとかよちゃんのこえで、おひるねからみんながおきちゃった。
「ねえねえみんな、ゆうくんきょうねむったんだよ。ゆめをみていたみたいだから」
ともこせんせいが、おおきなこえで、うれしそうにいった。
ぼく、おひるねきらいだったのにねむったんだ…とおもったら、となりのみよちゃんが、ぼくのかおみて、ニッとわらった。
ぼくもなんだかうれしくって、わらったよ。

しろやま会員  ふじい のぶこ



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