広報 あぐい
2007.07.01
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あぐいぶらり旅
〜阿久比の道を行く(県道草木金沢線)〜

シリーズ 阿久比を歩く 55

 



知多市と阿久比町の境界



花かつみを観賞する来園者


梅雨入りした最初の日曜日。雨は一休みといった感じで天気は晴れ。草木地区で花かつみ園が一般開放(6月3日〜17日)されている。今回は花かつみ園見学を兼ねて、県道草木金沢線(県道259号線)にぶらり旅へ出掛けた。

知多市との境界を出発点として、東に向かう。稲は株が太くなり色も濃い緑に成長している。道沿いのビワの木には実がたわわに実り、枝が垂れ下がっている。少し行くと、自動車部品などを製造している会社の工場が右手前方に見えてきた。工場のすぐ前が花かつみ園。道沿いから園の様子をうかがうことができる。多くの人が花かつみを観賞している。

初夏の訪れとともに、ノハナショウブ(アヤメ科の多年草)の花が咲く。小ぶりな花で鮮やかな紫色の輝きは人の目を引く。草木地区では、昔からこの花を“花かつみ”と呼ぶ。室町時代に伯耆(ほうき)の国(鳥取県西部)から下芳池に移植されたと伝えられ、一時絶滅の危機にあったが、現在は「花かつみ保存会」が大事に守っている。

友人と2人で花見と決め込む。「春は梅の花、初夏は花かつみ、秋は菊と阿久比では相場が決まってますよね」と友人が話し掛けてきたので、クイズ番組の司会者の真似をして「そのとーおり」と答えを返す。

アメリカ出身の人たちが花かつみ園を訪れていた。常滑市に在住しているという中年の女性が「日本のアヤメが大好き。去年初めてここに来て、素晴らしい花に出会えたので今年も友人を誘ってきました」と流ちょうな日本語で話し掛けてきてくれる。

日本に来てまだ1年だという若い女性に「日本語大丈夫ですか」と前置きしてからオーバーアクションを交え、花かつみの感想を尋ねると「ハナ ノ イロ ガ トテモ ブライト ネ」。「オー。花の色が明るいパープル。ブライト紫ね」。(欧米か?) 日本語と英語が混じり合う会話であったが、彼女は鮮やかな紫色の花に感動している様子だった。

県道を東に進む。草木小学校を過ぎ西尾知多線との交差点で、信号待ちをしていると、車の中の夫婦から「名古屋から来たんだけど、『花かつみ園』はどこですか」と訪ねられる。「あちらです」と私たちが歩いて来た道を説明して、ぶらり旅を終えた。



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