名宝展抜き身の太刀に冴返る |
岡戸 隆明 |
冴返るひとりの膳に堆朱箸 |
新美 京子 |
あたたかき砂場に小さな忘れ鋤 |
加藤 吉朗 |
手庇に仰ぐ総門涅槃西風 |
溝口スミ子 |
あたたかき雨に際立つ磨崖仏 |
北中 祥子 |
学僧の匂う墨染梅二月 |
菅原ルリ子 |
暖かと一言交し笑む会釈 |
浅利 和子 |
藁ぼっち着て一輪の冬牡丹 |
都築 玲子 |
黒檀の卓子光る春障子 |
赤津 千城 |
草青む十字の墓標海を向く |
前田 泰男 |
野に遊ぶ母子に注ぐ陽の温し |
新美 弘子 |
数万の人・音・光雪まつり |
深谷 靖 |
暖かや苦労話に今があり |
新美八枝子 |
冬ぬくし琴弾くホテルの同窓会 |
下内 信幸 |
温む沼水面で何か騒ぎだす |
井本 庄一 |
汐見坂登れば寺の梅香る |
豊田 定男 |
冴返る空気ふるわせ鳥立ちぬ |
石田 稔一 |