野茨の咲かざる枝も春探し風戯るる川べりの路 |
講師 岡本 育与 |
大風呂の曇る鏡にシャワー掛け朧な後の世覗く思ひす |
竹内 清己 |
薄衣に装い替えし山並みの緑にからむ藤のむらさき |
大村寿美子 |
亡き母のしていたように我も又花に問いかけ花に語りぬ |
加藤かずみ |
ハイキング疲れた我の背をそっと押して息子は歩みを合わせる |
木村 久世 |
真白なるみず木の余花に風吹けりひらひら舞いて春はゆくらし |
竹内 久恵 |
うららかに照れる菜畑に雲雀聴く春愁と背中合わせの情して |
田中 太平 |
玄関に掲げし自筆の書を見つつ傘寿を祝ふ口紅ひきて |
長坂吉余子 |
孫の守した日がなつかし今は我守してもらう老人となる |
新美 功子 |
我が腕ですやすや眠る初孫をスタッフ一同起こすに必至 |
橋立 智子 |
悩めるを語らう友を慰むる過去の吾れの思い出まじえて |
桃井 昌子 |
菅笠も茜だすきも夢なるか田植機の音に静寂破らる |
山口 昇 |