魂を奪わるるほど明るくてカーテン越し見る十三夜の月 |
岡本 育与 |
息子は親のハードル越えて育ち行け我もハードル少しづつ上げたり |
木村 久世 |
焼夷弾って何と問いくるこの子等に説明はしない見せたくもない |
山本きさ子 |
踊り好きの友の形見の帯結び盆の踊りの輪の中にいる |
橋立 智子 |
近頃は予測のできぬこと多く季節はづれのインフルエンザ |
山崎 淳子 |
やれ嬉し今年も出来た梅漬を孫に曾孫に残す大曾母の味 |
大村寿美子 |
今日もまた穏しくあれと念じつつ先づは見上ぐる朝朝の空 |
長坂吉余子 |
一人住む友慰めむと電話する出かけるからとあっさり切らる |
桃井 昌子 |
現世を共に行きゆく生命なり秋告ぐ虫の音愛しみて聞く |
田中 太平 |
草を燃す煙のにおう県道を車の窓開け秋を吸い込む |
勝 曉子 |
朝晩に秋がきたると今朝のラジオ花火も見ずに夏は終りぬ |
奥田 貞子 |
澱みたる池のボウフラ眺めつつ清流願う「民主」の政治よ |
山口  |