力の限り燃え尽きろ!
目標に向かって汗を流す若者たち
第53回愛知県消防操法大会が7月12日、一宮市の愛知県一宮総合運動場で開かれます。この大会に阿久比町消防団第1分団が25年ぶり、町消防団の出場としては5年ぶりに知多郡5町の代表として「小型ポンプ操法」の部で出場します。優勝を目指して夜間練習に取り組む阿久比町消防団第1分団を取材しました。
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大会に向けて第1分団は3月17日から練習に励んでいる。晴れた日は英比小学校のグラウンド、雨の日はスポーツ村屋内練習場を使い、月曜日から金曜日まで連日連夜汗を流す。
午後8時が近づくころ、1日の仕事を終えた消防団員が小学校グラウンドに集まり始める。大会に出場する団員のほかにも第1分団のメンバー、半田消防署阿久比支署や役場の職員、他の分団からの応援も加わる。
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ポンプの点検をする団員 |
誰からの指示が出るわけでもなく、ブラシを使いグラウンド整備を行う者、器具を準備する者、自然発生的に全員で県大会に向けてのサポート体制が生まれている。
榊原和宏消防団長の合図で練習がスタート。
「火点は前方の標的、水利はポンプ右側後方の防火水槽……」。夜の静まり返った英比小学校グラウンドに、第1分団長で指揮者を務める西畠大祐さんの威勢のいい声が響き渡る。
小型ポンプ操法の部は、指揮者の指示で隊員が消防ホースの接続、延長、筒先の結合操作を行い、ポンプから約50m先の標的に向けて放水。その後に集合して整列するまでの一連の動作が競われる。動作に掛かった時間や正確さ、チームワークなどが審査の対象となる。
出場するメンバーは、自分の役割を確認しながら練習を繰り返す。
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団長からアドバイスを受ける団員 |
「ヘルメットを気にしちゃダメだ。しっかり前を見て、真っすぐ進め」
時に、消防団長から厳しい“げき”が飛ぶ。「第1分団としては25年に1回しか巡ってこない県大会出場。町消防団、そして知多5町の代表として、各自がこの機会を幸せに感じ、自覚を持って上位入選を狙ってもらいたい」と団長は語り、真剣なまなざしで練習を見守る。
休憩の合間にも消防署員から技術面の指導が続く。額に流れる汗をふきながら、身振り手振りを交えて、アドバイスをまじめに聞き入れる。仲間が撮ったビデオを見ながら自分たちの動きのチェックも欠かさない。
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放水の練習 |
メンバーをまとめる指揮者西畠さんは「ここまで真剣になれるのはなぜでしょうかねえ。先輩に誘われて軽い気持ちで消防団に入団しましたが、今は生活の中の一部です。町民の生命や財産を守る大切な仕事に誇りを持っています。大会が終わるまでは酒もタバコも断ち、優勝という1つの目標に向かって全員で突き進んでいます。大会終了後には美酒で乾杯といきたいですね」と話す。
午後9時半過ぎ、仕事の都合で練習に遅れてきた1人が加わり、大会出場のメンバーが5人すべて揃った。「今日最後の1本、気合を入れていくぞ」。「よっしゃあー」。全員の掛け声が1つになる。
疲れのピークはすでに限界を超える。最後の力を振り絞り、歯を食いしばりながらの練習が続けられた。
「第1分団小型ポンプ操法を終了しました。別れ」。指揮者が最後の号令を発した瞬間、静かな夜のグラウンドに「お疲れさま」という言葉と拍手がわき上がった。
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第1分団は7月12日の大会に向けて現在も練習を続けています。彼ら若者が流した汗と努力は、きっと素晴らしい結果を残してくれるでしょう。目指せ優勝。頑張れ阿久比町消防団。 |