広報 あぐい
2006.01.01
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その昔、首相の祖父と親交あり

 

左が伊藤彰さん、中央が首相官邸で披露した掛け軸
町長が持つのは小泉首相直筆の色紙

卯坂八幡神社拝殿に飾られている又次郎氏直筆の書

小泉純一郎首相の祖父と半島つながりで結ばれた友情

小泉首相の祖父で、神奈川県横須賀市出身の故・小泉又次郎氏(元逓信相、1865〜1951)と親交があった阿久比町出身の故・伊藤仁喜知さん(1895〜1960)。

仁喜知さんは旧制中学卒業後に神奈川県横須賀市へ働きに出て、建設関係の仕事に就き、とび職出身の又次郎氏と出会います。お互い同じ建設関係の仕事であり、また知多半島と三浦半島の半島出身ということが縁で2人の親交が深まったようです。

親交の証しとして、阿久比町卯坂の八幡神社拝殿には又次郎氏直筆の書で「八幡神社」と書かれた額が飾られています。これは仁喜知さんが又次郎氏に拝殿竣工を機に依頼して書いてもらったものだと言われています。


孫同士が時代を超えて面会

坂部地区では、小泉首相が総理大臣に就任したころから年輩の人たちの間で「小泉首相のおじいさんの書が神社にある」と話が広がり、そのことが仁喜知さんの孫、伊藤彰さんの耳にも入りました。

「実は、首相のおじいさんに書いてもらった掛け軸が家にあるんですよ」と彰さんから話しが持ち上がり、地元ではこれも何かの縁ではないかと考え、小泉首相の関係者に相談したところ、とんとん拍子で話がまとまり、首相官邸で孫同士が面会することが決まりました。

12月7日、伊藤彰さんは又次郎氏直筆の掛け軸を持参して、小泉首相との対面を果たしました。


小泉首相、祖父の書を眺める

又次郎氏から仁喜知さんに贈られた掛け軸には、李白の七言絶句「史郎中欽と黄鶴樓上に吹笛を聴く」の中から引用された漢詩が書かれ、祖父の書を見た首相はニコニコしながら「間違いなく祖父のもの。なかなか難しくていい字を書いていたんだなあ」と感慨深げだったそうです。

面会の中で彰さんは、「私の先祖の墓に『南無阿弥陀仏』と刻まれていますが、その字もおじいさんが又次郎氏に頼んで書いてもらったものです」と話をすると、「交流が深かったんですね」と首相は笑顔で応えてくれたそうです。


墓前に報告

伊藤さんは「まさか本当に会っていただけるとは思ってもいませんでした。感激しています。皆さんのおかげです。首相の前では緊張してあまりしゃべれませんでした。おじいさんの墓前にも報告しました。大変喜んでくれていると思います」と首相との対面の感想を語っていました。


掛け軸、町に寄贈

「小泉首相のおじいさんの書を阿久比町民の皆さんに見ていただきたいです」と伊藤彰さんから掛け軸を、小泉首相からは「無信不立(信無くば立たず)」と記した直筆の色紙を町に寄贈していただきました。

この寄贈品は近日中に、町立図書館で展示して町民の皆さんに公開する予定です。

*      *

師走の寒い時季に、時代を超えて孫同士が面会するホットな話題。それも時の首相と阿久比町民。又次郎氏の雅号は「半島」。半島つながりは偶然にしても何かの縁を感じ取ることができます。

年末年始、機会があれば卯坂の八幡神社に、小泉首相の祖父、又次郎氏の書を見に出掛けてみませんか。



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