広報あぐい

2011.10.15


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念仏を唱えて“虫供養”

〜まちの話題〜

百万遍念仏を唱える同行衆

砂山を踏む子ども

「阿久比谷虫供養」が9月23日、白沢区民館の敷地内で行われました。夏のような陽気となった当日は、伝統行事を一目見ようと多くの人でにぎわいました。

「阿久比谷虫供養」は、知多市・常滑市の「大野谷」と東浦町の「東浦五ヶ村」とともに、昭和58年に「知多の虫供養行事」として愛知県の無形民俗文化財に指定されています。

農作業で犠牲になった虫を供養するために念仏を唱えたことが始まりといわれる虫供養は、平安時代の終わりころから続く民間信仰行事です。


小屋を回り参拝します

現在は、町内13地区で持ち回り、今年は白沢地区が当番です。1年前に草木地区から引き継いだ供養の道具一式は、この日のために寒干しや土用干しなどを行って大切に保管してきました。

会場には大道場と8つの小屋が設けられました。町指定文化財の12幅の掛け軸などが飾られ、朝からかねや太鼓の音が響き渡りました。

区民館の屋根を越える高さの大塔婆付近には、子どもを連れた多くの人の姿がありました。大塔婆の前に敷かれた砂山を乳幼児に素足で踏ませると「かんの虫封じ」や健やかに成長できるという言い伝えがあるからです。

子どもたちによる囃子の奉納後、午後1時から大道場で虫供養念仏が始まりました。導師の先導で約30人の同行衆が2時間に渡り、百万遍を唱えました。

百万遍念仏も終了し夕方になると供養場の小屋が次々に取り壊されていき、今年の虫供養もいよいよ終わりのときを迎えました。その一方、来年の当番に当たる福住地区への引き渡しが厳粛なムードの中、道具などを一つ一つ確認しながら行われました。

こうして、伝統行事の虫供養は、今年も盛大に行われ、無事に来年へと引き継がれていきました。

確認しながらの引き渡し

ふるさとガイドによる案内も行われました