二つの道歩めぬことは知りながら一つ道に思うこのごろ |
講師 岡本育与 |
ひとり酌むお屠蘇のみどに沁み通り去年の禍事溶かしゆきたり |
長坂吉余子 |
一年の疲れを落とす通院は新年のためのパワー蓄積 |
新美 功子 |
鮭達がふるさと忘れず戻りくる地震の痛手に笑顔あふるる |
橋立 智子 |
姿見に生母養母の影を見るどこか似てゐし我の全てなり |
桃井 昌子 |
「偽」の記事多かりし去年憂い「真」の溢る子年を祈りぬ |
山口 昇 |
あるがままなるがままにて今があり先見えずして一日一生 |
山崎 淳子 |
冬の夜空に光れる星見ようとわれ立つ地球も星の一つか |
山本きさ子 |
元旦の朝のお客はメジロ達チチチ チュルルと熟れし柿喰む |
渡辺百合子 |
歌会は楽しくなければつまらない笑の歌には心がなごむ |
竹内 勝吉 |
戦乱の世を幸運に生かされて傘寿半ばの初日を拝む |
佐野 雄造 |
悔い多きわが日々なれど肯いて小寒の冷たき風の音聞く |
勝 暁子 |