広報 あぐい
2007.07.15
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あぐいぶらり旅
〜阿久比の道を行く(県道南粕谷半田線)〜

シリーズ 阿久比を歩く 56

 



前方後円墳の二子塚古墳



“萩の常夜燈”


半田橋付近から県道南粕谷半田線を北に向かう、ぶらり旅に出掛けた。

天候は曇り。湿度が高く蒸し暑い。少し歩くだけでじっとりと体中が汗ばんでくる。昨晩見た悪夢(思い出せないが、うなっていたらしく妻に鼻をつままれ目を覚ます)で寝汗をかき、首の周りにできたあせもがヒリヒリする。

日曜日で休診の病院の駐車場で、スズメ同士が地面に降りてけんかをする珍しい光景を目にする。口ばしを突っつき合う、激しいけんかだ。

友人が「恋敵同士のけんかですかね。それとも夫婦げんかですかね」と話し掛けてくるので、「夫婦げんかならあそこまでしないだろう。多分、恋敵の戦いだな」と言葉を返す。「ところで、家庭で夫婦げんかはしませんか」とプライベートなことを聞いてくる。「僕は妻の言うことは、右から聞いて、左に受け流すようにしているから大丈夫」と夫婦円満の秘けつを話している途中でスズメたちは、お互い違う方向に飛び立って行く。

ガソリンスタンドの奥に、常夜燈が見えたので、県道から少し東へ足を運ぶ。神社ではよく見かけるが、道に立つものは珍しい。通称“萩の常夜燈”と呼ばれる。

常夜燈横に看板があり、いわれの説明がある。建造は大正5年。伊勢皇太神宮への献燈として、伊勢の国を望むように西向きに造られ「伊勢大神宮」と文字が刻まれる。昭和15年まで村で当番を決め、それぞれの家が毎晩交代で火をともし、一晩中暗い道を照らしていたようだ。

2人で後ろを振り返る。「この先に伊勢神宮があるのか。よし。手を合わせるか」。何を願ったのか聞かなかったが、友人は白い歯を見せて笑っていた。

北へ向かう。宮津地区に入る。蟹田川付近で足を休める。西の方角には田園風景が広がる。東の方角には川を挟み、南側は昔ながらの板壁の民家が並び、北側は区画整理が進み、新しい町並みが生まれつつある。

前方後円墳の二子塚古墳を横切り、オアシス大橋東交差点まで来て、今日のぶらり旅を終える。

首筋が汗でヒリヒリするので、昨晩の思い出せない悪夢のことを友人に話す。「夫婦円満と言ってましたが、本当は奥さんとけんかして、ひっかかれたあとじゃないんですか」と言われ、「違うよ。これは、あせもだろ」とむきになって首筋を見せた。



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