広報 あぐい
2006.3.15
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苗代句会作品集

 
石炭もニシンも消えて街の灯を栄枯盛衰の凩たたく 講師  岡本 育与
ゆく雲にのりて行きたし夕映えの雲間で招く光のそら 山本きさ子
葉を落としすっくと立ちし銀杏の木人逝く時もかくの如きか 渡辺百合子
「急ぎなら」「借りたい日に」と美女の笑み罠がありそなサラ金CM 奥田 貞子
春の雪溶けゆくやうに優しさに老いの心のほぐれて行きぬ 佐野 雄造
切れぎれの思いよぎりて眠られぬ夜半にラジオのイヤホーンを取る 勝  暁子
寒空に竿竹売りの声響き移り行く世に逆らう如く 竹内 清己
現代の世相を見てか「勿体ない」総理の一言吾が意を得たり 大村寿美子
虹色の十二単の衣をまとい荒れ地の中にくずの花咲く 加藤かずみ
鏡見て顔の縦皺伸ばしつつ「美人になーれ」と呪文を掛ける 木村 久世
年歳としよりも派手な装いこそばゆい気分を変えて講演会へ 竹内 久恵
叔母逝けり菩提寺の空に声上げて鳥飛び交ふみぞれ降る朝 田中 太平


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