時さえも止まったような昼さがり風なき空に浮かぶ弦月 |
講師 岡本 育与 |
キー一つ押せば文字が現れるハナ、ハト、マメと書きし日遙か |
山本きさ子 |
思いがけず口から出でし言葉あり一日の終わりそを悔いいたり |
渡辺百合子 |
道の辺にお地蔵さんの住(おわ)します福住といふわれの住む町 |
佐野 雄造 |
早苗田にかわず鳴く声聞かぬまま田の面は緑の濃さを深めり |
勝 暁子 |
バスに乗り行きずりに見る工事現場大型ダンプに女性乗る見ゆ |
竹内 清己 |
今年また晩春の伊勢路ひた走るさ緑(みどり)賞(め)でつつ出で湯の館に |
大村寿美子 |
あめあがり陽差しをさけて木の下に生れし風は天然クーラー |
加藤かずみ |
プロ棋士の心理の指摘にドキッとし我省見て盤上を観る |
木村 久世 |
一面に赤き芽を吹く赤芽がし庭は明るく空は碧空 |
竹内 久恵 |
ムラサキに余韻残せる花かつみとほき日思はす於大の母情 |
田中 太平 |
置いたはず在るはずの眼鏡くもがくれ探しつかれし時に出て来つ |
長坂吉余子 |