広報 あぐい
2005.09.01
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あぐいぶらり旅 〜自然を求めて〜

シリーズ 阿久比を歩く 11

 

8月8日、親子ふれあい教室自然観察会に同行し、板山地区の高根湿地を訪れた。

湿地内の前方には森が広がり、中央には池が見える。保護されている場所に一歩足を踏み入れると、もうそこには貴重な植物が生育している。足で踏みつけないように恐る恐るへっぴり腰で、前かがみになって歩を進める。

食虫植物のモウセンゴケを発見。海に生息するヒトデみたいでモゾモゾと動き出しそうな感じだ。そっと人差し指を近づけてみる。全く反応なし。少し離れた所にシラタマホシクサが咲き始めている。

湿地内には人工の池ではなく自然が作り出した池がある。周りには堤防がなく背丈50センチ程の植物に囲まれている。中央付近からは孤島が浮かんでいるかのように植物が水の中から伸びている。水面に前方の森が映し出され、観光地の絵葉書に登場しそうな素晴らしい景観だ。

気合十分で長靴を履いてきたので池に入ってみた。沼地になっていた。遠くまでは行けなかったが水の中で生き物が気持ちよさそうに動き回っている。水面に細い体をしたイトトンボが卵を産みつけていた。

「あれがハッチョウトンボだよ」と観察会の先生が教えてくれる。日本最小のトンボに出会えた。感動。体長は小さいが頭部や胴体の部分は以外に大きく感じられ存在感を示していた。前回オニヤンマの撮影に失敗しているので今度こそと思いカメラ撮影に力が入る。物音に気づき別の場所へ飛んでいった。
(広報マンとして恥ずかしい。今回もピンボケ。皆さんに顔向けができない…。)

普段、まちの中で聞こえる車や人の声は全く耳に入らず、別世界を堪能することができた。

「自然を求めて」編は今回で終了します。次回からは「川沿いを歩く」編を連載します。

 


多くの生物が生息する湿地内の池



モウセンゴケ


シラタマホシクサ



水辺を飛ぶトンボ

 

板山高根湿地

貧栄養の土壌や南側斜面と地下からの湧き水が弱酸性の水質を持っているために、モウセンゴケやシラタマホシクサなどの湿地性の植物が広く生育し、町で保護をしている。

夏の終わりには、真っ白なシラタマホシクサが湿地を覆い、日本で見られる最小のトンボ、ハッチョウトンボも観察することができる。

最近は環境の変化や無断採取のため、植物の数が減少してきている。

現在、一般開放は行っていない。



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