広報 あぐい
2005.05.01
バックナンバーHOMEPDF版 ダウンロードページへ

あぐいぶらり旅
〜知多四国八十八カ所
弘法参り

シリーズ 阿久比を歩く 3

洞雲院山門
洞雲院山門
地図龍溪山 久松寺洞雲院

洞雲院の本尊は如意輪観世音菩薩で曹洞宗に属する。
寺伝によると、創建は天暦2年(948)で菅原道真の孫、雅規が開基とされる。
創建当時は、久松寺といい天台宗であったが、明応2年(1493)に、久松定益が禅透和尚を開山に迎え、久松寺を改め龍溪山久松寺洞雲院となり、曹洞宗の寺院として再建。
久松家歴代の菩提寺で、家康の生母於大の方の墓や久松・松平家の墓地がある。


すでに2つの寺を巡った。時計を見ると1時半。足に疲れがきた。休息を取り腹ごしらえをすることにした。
坂部橋を渡り少し歩いて、県道沿いの飲食店で少し遅い昼食を食べた。
1時間ほど休んだ後、県道を西に横断して南にほんのわずか下ったところに、「新四国十五番洞雲院」と記された石門があった。そこから細い道を通って本日のぶらり旅最後の目的地「洞雲院」に向かう。細道は車の通りもほとんどなくとても静かで、昔ながらの板張りで黒色をした外壁の古い家並みが目に付いた。
洞雲院に到着。徳川家康の生母・於大の方ゆかりの寺院、阿久比を紹介する際に必ず名前が出てくる寺だ。
石の階段を上り、山門をくぐって境内に足を踏み入れる。私たち2人以外には誰もいない。午後3時近くになると、太陽の位置も西の方角に移動して陽の当たる場所も少なくなっていた。
於大の方が、戦国時代の女性の哀しみが繰り返されないようにと、何度も足を運び祈願した場所。その同じ場所に立っているかと思うと感慨深げな気分である。
まずは、「奉納経」に朱印を押してもらう。笑顔が素敵な“若お庫裡さん”が気さくに応じてくれた。
本堂にあげてもらい、町指定文化財などが置かれている奥まった部屋へ案内してもらった。
薄暗い部屋の正面中央にあるのは「廻地頭厨子」だという説明を受ける。周りの位牌や仏像が年月の経過によって黒や灰色の暗い色をした中で、厨子は鮮やかな金箔が施されてひと際目立っていた。
境内の西側に於大の方遺髪墓がある。周りの雑木林の間から入り込む光線のせいか、墓が薄暗い空間の中でスポットライトに照らされているかのように、神秘的な印象を受ける場所だった。
洞雲院を後にして、今は城山公園となっている“坂部城”跡を横目に再び県道に出て出発点の役場に戻った。
今日は無事3つの弘法寺を巡ることができた。車での生活に慣れて、歩くことが少なくなった今日このごろ。久しぶりにピクニックに出かけたような楽しいぶらり旅だった。(足は次の日に筋肉痛となる。)

次回は平泉寺です。
(参考資料 阿久比町誌・阿久比の寺院、あぐいのあゆみ)
  奉納経
奉納経
石門
石門


<<前ページへ ▲目次ページへ 次のページへ>>