| 谷間の棚田に響かう水の音 土黒々と冬より覚むる | 岡本 育与 | 
        
          | 立春と暦の上は春なのに佐保姫いまだ夢路を巡る | 大村寿美子 | 
        
          | ねむりたる山を起せる春一番たのみに作りし切干大根 | 山本きさ子 | 
        
          | 老婆にも「春」をみせたい孫達が車椅子押し土筆を探しぬ | 山本  | 
        
          | 福寿草クリスマスローズに桜草さ庭を彩る如月の春 | 山本 淳子 | 
        
          | 昭和とう時代を共に歩み来し母なる港我は失えり | 木村 久世 | 
        
          | 寒風に若布ののれんひらひらと天日に干され知多の浜辺は | 加藤かずみ | 
        
          | 久々に背を正して剣山にさす花茎のすなおな手ごたえ | 勝  暁子 | 
        
          | バレンタイン雛まつり等華やかに梅桃桜春を呼びゐる | 佐野 雄造 | 
        
          | はるばると地球の裏から押し寄せる津波のエネルギーは地球を巡る | 奥田 貞子 | 
        
          | EEたる太平洋を渡り来しチリの津波の知多にも着きぬ | 竹内 清己 | 
        
          | たたずまい粗末な家にも自動車の置かれてこの国変り来しにや | 渡邊百合子 |