迷いつつ躇いつつの一日を夢に消したき 夜具をかき上ぐ |
勝 暁子 |
何時の日か花咲く野辺に立つあらむ生きる楽しさ忘れぬ内は |
佐野 雄造 |
大根が背のびして立つ野菜畑青い肩出し大空見上ぐ |
竹内 久恵 |
残る日を夢うつつにて卆寿とや冬野漂うはぐれ蝶一つ |
田中 太平 |
ねがわくは介護保険にご縁なく生を終へたし跳びはね歩く |
長坂吉余子 |
いろいろと人生相談した人が逝ってしまって心に穴あく |
新美 功子 |
観桜会花より団子と酒盛りをせしメンバーの一人逝きたり |
橋立 智子 |
満開の桜の下で農をする先祖の会話聞こゆる様な |
桃井 昌子 |
イチローの一打によりて優勝す不況を打破するスターは出ないか |
山口  |
厨より蕗味噌の香ただよい来忘れた舌が思い出す春 |
山本きさ子 |
古稀とゆう区切りの齢を迎えたり新たなページ生きてゆかなん |
渡邊百合子 |
わが脳の萎縮速度の速みしか記憶の箱より零るる多し |
岡本 育与 |