| すずしろを千六本につき出だし春は名のみの風に晒しぬ |
竹内 清己 |
| 定額の給付金の使い道あれこれ思う今が幸せ |
木村 久世 |
| 同期会幹事引き受け段取りす皆のやさしさ我のご馳走 |
山崎 淳子 |
| 玻璃越しの陽光に誘われ外に出れば項に冷たし如月の風 |
大村寿美子 |
| バネじかけのやうにメジロが飛び回り五分咲きの梅の蜜を吸いゐる |
奥田 貞子 |
| 悲しみも過去になりしと想う春車窓を過ぎゆく景色のように |
加藤かずみ |
| 愛されて生きて人は育ちゆき頂点過ぎて老を迎ふる |
佐野 雄造 |
| 如月の鈴鹿颪に遊ばれて切干し大根見事に縮む |
竹内 久恵 |
| いい事は人のおかげと書かれたる寺の訓語に深く頷く |
田中 太平 |
| 少しずつ加齢の現象増えきたる今日といふ日をそろり始める |
長坂吉余子 |
| 何かしら心の沈む日のあれど今日生々と明るく過ぎぬ |
渡邊百合子 |
| 楚々と咲く古木の花よほのぼのと如月の庭を照らす一灯 |
岡本 育与 |