残菊のなほ繚乱と咲くいのち |
岡戸 隆明 |
迷ひ入る犬に簷貸す冬の雷 |
菅原ルリ子 |
陵の多き山辺暮れ早し |
前田 泰男 |
美濃の街 の家並み暮れ早し |
豊田 定男 |
散り尽くす銀杏大樹や烈士の碑 |
北中 祥子 |
冬うらら犬と乗り合ふ昇降機 |
新美 京子 |
銀杏落葉雨にはりつく石畳 |
浅利 和子 |
短日の独り住ひの鍵かくる |
溝口スミ子 |
土器を投げて神護寺の渓紅葉 |
都築 玲子 |
御神籤を結ぶ枝先かえり花 |
赤津 千城 |
煌ける落ち葉に残る昨夜の雨 |
新美 弘子 |
百鉢に百の丹精菊花展 |
深谷 靖 |
風巻たる銀杏落葉の吹き溜 |
新美八枝子 |
落葉掃く昔教師の背筋伸ぶ |
下内 信幸 |
鐘の鳴る洛中寺社の暮れ早し |
井上 庄一 |
初冬や骨董市の値踏み声 |
大棟 峯子 |
短日やいよいよ薄き痩せ暦 |
安井まこと |