
掛け軸を前に百万遍念仏を唱える同行
農作業で犠牲になった虫を供養するために念仏を唱えたことが始まりといわれています。“クヨ”は平安時代の終わりころから続く民間信仰行事で、現在では町内13地区の持ち回りで行われています。
卯之山地区は、1年前に阿久比地区から引き継いだ供養の道具一式を寒干しや土用干しなどをして大切に保管してきました。津嶋神社境内には大道場と8つの小屋を設け、町指定文化財の12幅の掛け軸などが飾られました。
供養場には朝から鉦の音が響き渡りました。午後、地区の子どもたちの囃子の奉納後、大道場では同行約30人が2時間に渡り、百万遍念仏を唱えて虫供養を行いました。
大塔婆の前に敷かれた砂山を、乳幼児にはだしで踏ませると、「かんの虫封じ」などになると言い伝えがあり、多くの家族連れの姿もありました。
夕方が近づくと供養場の小屋が取り壊されました。厳粛なムードの中で、来年の当番に当たる坂部地区への引渡しが行われ、伝統行事はまた来年へと引き継がれていきました。 |