| 長き夜の妻の時間に立入らず |
岡戸 隆明 |
| 古文書のくづし文字解けぬ夜長かな |
新美 京子 |
| 穴まどひ輪禍の骸干からびて |
加藤 吉朗 |
| 狛犬に木の実預けて子等遊ぶ |
溝口スミ子 |
| 長き夜の発して高きひとり言 |
北中 祥子 |
| 皿の絵の放つ光彩後の月 |
菅原ルリ子 |
| 饒舌の娘ら去りうつろなる夜長 |
浅利 和子 |
| 予後の身に稿継ぐ夫の夜長の灯 |
都築 玲子 |
| 縁側の巾三尺の小春かな |
赤津 千城 |
| 行く秋や財布に残る古切符 |
前田 泰男 |
| 独り居の家深閑と夜の長し |
新美 弘子 |
| 秋澄や日差しゆたかに身をおきて |
新美八枝子 |
| 声に出し名句に浸る長き夜 |
深谷 靖 |
| 夫婦して歩く城下や菊日和 |
下内 信幸 |