結核は、昭和25年ころまでは、死因の第1位で、多くの人が苦しんだ病気です。
栄養状態や衛生状態の改善・医療の進歩などに伴い、患者数は急速に減少しました。
「昔の病気」という意識がありますが、今でも毎年3万人近い患者と2,000人近い死亡者が出ています。
○結核の感染
結核が進行した患者がせきやくしゃみをすると、結核菌を含む小さなしぶきが飛び散ります。このしぶきの中の結核菌を吸い込むことによって感染します。ただし、菌が鼻やのど、気管支などにひっかかり、肺の細胞に定着する前に体外に運び出されれば、感染はしません。
結核菌が肺の中に増殖しはじめると、その場所が炎症し、せきや発熱などの症状を引き起こします(発病)。しかし、感染したすべての人が発病するわけではありません。免疫の力が勝てば菌の増殖は抑えられ、発病はしません。ただし、菌は完全に消滅したわけではなく休眠状態で、体の中で生き続けます。
○現在の結核の問題点
(1)高齢者の発病
毎年、新たに結核患者として登録される人の半数以上が60歳以上の高齢者です。若いころに感染し、何十年もたってから、体力や免疫力が低下したことによって発病するケースが多くみられます。
(2)若い世代の感染
ほとんどの若い人が結核に感染したことがなく、結核に対する免疫がないため、結核菌を吸い込むと容易に感染してしまう傾向にあります。
(3)結核への関心の薄れ
結核は昔の病気と考える人が多く、患者も医師も油断しがちになり、受診や診断の遅れが増えています。
○結核の症状
結核の症状には、次のようなものがあります。
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長く引くせき・たん |
だるい・疲れやすい |
微熱が続く
37〜37.5度位 |
たんに血がまざる |
胸の痛み |
初期症状はかぜとよく似ています。症状が長引くようなら要注意です。
高齢者は、症状がわかりにくいこともありますので、少しでもいつもと違うと感じたら、早めに受診しましょう。
○結核から身を守るために
(1)2週間以上せきが続いたら、早めに受診する。
(2)1年に1度胸部X線検査を受ける。
(3)乳児は、生後3カ月を過ぎたら、BCGを接種する。
(4)規則正しい生活を心がけ、免疫力を低下させないようにする。
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おいしい食事をとり疲労を避け、ストレス解消を心がけよう |
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適度な運動をしよう |
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栄養バランスのとれた食生活を |
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睡眠をしっかりとろう |
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