2つの丘のように盛り上がった二子塚古墳
宮津地区にある二子塚古墳に出かけた。
この古墳は、知多半島で唯一の古墳時代の中期前方後円墳とされ町指定文化財となっている。
鉛色の厚い雲が空に広がり、枯れ草が古墳全体を覆っていた。前方後円墳といっても見た目には、円形の丘が2つ並んでいるように見える。この下に誰が眠り、どんな秘宝が隠れているかは謎である。
小学校5年生の時、歴史クラブに所属して遺跡や史跡をまわって古代ロマンを追い求めた私としては、古墳を目の前にして胸が高鳴り、想像力をかき立てる。
古墳イコール権力者のイメージがある。もしかすると知多半島で唯一残る前方後円墳ということは、半島を支配していた有力な権力者がこの阿久比の地に住み、阿久比は当時、政治や生活の中心的な場所だったのではと、勝手な想像をしてしまう。
古墳の周りは堀がめぐらされ、毎年7月になると、東部小学校の児童たちが、ホタルの幼虫を放流する場所でもある。昨年私もここでホタルが、淡い光を放ちながら飛びかう姿を発見することができた。今は静かなこの場所に、次世代のホタルの子どもたちが、時の権力者と一緒に冬眠していることだろう。
ちょうど私たちが訪れたこの日には、「町民凧あげ大会」に向けて隣にある宮津公民館で子どもたちがたこ作りをしていた。出来上がった、たこに糸をつけて思い思いにたこ揚げの練習をしていた。糸の結び方が甘かったのか1人の子のたこ糸がほどけて古墳の方に飛んで行ってしまった。たこを取りに行き戻って来た子どもに「今、登って行った丘の下にはすごい宝物があるかもしれない、古墳という場所だけど知ってるかい」と尋ねると、「うそー。そんなの知らないよ」と全く興味が無さそうに、走り去ってしまった。北風が冷たく横切った。 |