広報 あぐい
2006.12.01
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あぐいぶらり旅 〜伝説の地を歩く(金の鶏 伝説)〜

シリーズ 阿久比を歩く 41

 



観音山に生えるススキ



観音山からの眺め。下方は安楽寺


今回から町発刊の「阿久比の昔話」の中に登場する“伝説の地”を求めてぶらり旅に出掛けることにした。

第23話「金の鶏」に“朝日の当たる一本すすきのもとに金の鶏が埋めてある”という伝説が残っているとある。場所は板山の安楽寺の裏山。話は「昔、この観音山のあちこちを掘って回った人がありました。でも、どうしても金の鶏は出てこず、そのかわりに、たくさんの小さな五輪塔が掘り出されたそうです」と続く。

友人と“金の鶏”を探しに出掛ける。安楽寺を訪ねる。住職は境内西の墓地の方向を指して「観音山はあの辺りです。伝説の話は聞いたことはあります。詳しいことはまた調べておきますね」と話してくれた。

観音山が実存すると分かったので第1関門をクリア。境内を通り抜け山に上る。観音山一帯には墓地が並ぶ。朝日の当たりそうな場所で“一本すすき”を探す。

立冬を過ぎたせいか、草木の葉の色は茶色くなりかけている。丘陵地の土手でススキを発見。「まさかこの下に金の鶏が眠っているのでは」と考えると気持ちは高ぶる。だが残念なことにそのススキは“一本すすき”ではない。周りをみるといたるところにススキが生えている。しかし話の中に出てくる「すすき」がこの場所にあるということが確認できたので第2関門をクリア。

「観音山」、「すすき」までたどりつけたがこの先には進めない。何も手掛かりがない。まさか墓地が並ぶ場所を私たちが勝手に掘ることは出来ない。

おばあさんが墓に切り花を供えている。「金の鶏」伝説を知らないかと尋ねてみたが、首をかしげるだけでニコニコしながら私たちの前を立ち去ってしまう。

あまり欲のない2人なので今回はここまでにしておこうという結論に至りぶらり旅を終えることにした。帰路の途中で、友人が急に「あのおばあさんきっと何か知ってますよ。ニコニコしているだけで何も話してくれなかったのが怪しいですよ。沈黙は“金”ですよ」とおかしなことをしゃべっていた。



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