| この世なる春の窓辺の温もりにいつしか霞むポトスの縁葉 |
岡本 育与 |
| 身めぐりに病む人の声満ちてをり一人を叱り一人を励ます |
長坂吉余子 |
| プランターの花の番地を訪ねつつ喋は花町の郵便屋さん |
山本ささ子 |
| つぱくらめ華奢な身体で広き海如何なるカで飛び越え来しや |
竹内 清己 |
| 会うたびに記憶薄れる母なれどおだしき笑顔で我を迎える |
山崎 淳子 |
| 初夏の陽を一ぱい吸いし掛布団白百合の香もそっと運びぬ |
山ロ f |
| 久びさに背のびして干す青空に洗濯挟の触れ合う音する |
勝 曉子 |
| 二ヶ月も帰って来ない猫ピイコさらいし人よ大事にされたし |
桃井 昌子 |
| やすらぎと自然豊かな阿久比の地新潟出でて第二のふるさと |
橋立 智子 |
| “朝ボラ“と呼び集ひくる児らに曉の陽光静かに広ごりて行く |
三留 享 |
| ひめゆりの語りべ遠の暑い夏六十五年も今だ終らず |
木村 久世 |
| 三日月に赤き金星のりており空に素敵なアクセサリー見る |
渡辺百合子 |