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ょうゅう秀し和お尚しです。ょう羅らを着とるでねえか。」ゃくたらがらちねろかっ   んまちくん333んろくうらえりん3333しろを伴い、切りだめと重箱を下げた農夫が大声で奥へ案内を乞います。「どうれ、……、おや、源げ兵べ衛えさではないか。ようおいでたの。まあ、お入り。」出てきたのは、白は衣えに略り衣え姿の当寺の住職道ど「へえ、ありがとうござります。先だってお願いに上がりましたが、これがせがれの源げ太たでござります。仕様のないガキでござりますが、よろしゅうお頼みいたします。……これ、お師し匠し様、いや和尚様に早うご挨拶を申し上げんか。」今日は洗いざらしだが紺こ縞しの木綿の着物を着せられた子供は、緊張した様子で、ペコンと頭だけ下げます。「このとおり、ご挨拶もようせんで……、どうかよろしゅうお願い申します。」源兵衛は、ペコペコと何度も頭を下げ、それからそばで突っ立っている子供の頭を手でお源兵衛は、一人置いていくわが子が気になるのか、何度も何度も振り返りながら帰っていきました。源太が寺子入りしてから二十日ほどたちました。今朝も二つ上の隣りの弥市が誘いにきます。「源太やい、行くぞ。」「おや、弥市ちゃ。いつも連れにきてくれて済まんのう。……あれっ、今日はえらい一い張ち「おばはん、何言っとるだあ。今日は天神さんの日だぜ。」「天神さんの日って、何のことだえ。源はなんにも言わねえから、いつものまんまでやろうと思っとったに……。」「あのなあ、毎月25日は北き原はの天神さんの日で、みんなでお参りに行くんだ。だから今日は手習いはねえだよ。それからな、古い筆が作さ次じもみんな来とるから、何も心配することょう比び麿ま様がお建てになられたありがたあい神ささえて、もう一度おじぎをさせました。「心配せんでも、子供はじきに慣れるわな。そう言えば、この間の、坂部様へ月参りに上がったとき、おまえの姉ねちゃがお針は子こに来とると奥様が話しとられたが、今日からおまえも寺て子こだな。初めは「いろは」の手習いから入って、村づくし・国づくし、三年もたったら商売往来で珠そ算ばまでやれるわい。まじめに勉強せんとあかんぞ。おまえの隣りの弥や市いやはないわ。どれ、みんなに引き合わせてやるかの。よろしゅう頼んますと頭を下げるのだぞ。」「それでは、わしはこれでご無礼をいたしますが、これは和尚さまへの赤飯、これは寺子たちの分、水呑百姓のことで、これでお許しくだされまし。」「おお、それはごたいげな。ありがたくいただきますぞ。」あったら持っていくだ。なけりゃ持っていかんでもいいと和尚さまは言っとらした。」「あれまあ、わし、ちっとも知らなんだがい。これ、源、ちゃんと夕べ言っとかんといかんがな。……すぐ着替えさせるから、弥市ちゃ、ちょっと待ってやっておくれな。」の寺子たちが、お社やへの道をたどります。風にそよぐ枯れ草の陰に薄い緑の軟かい草やすみれの花が顔をのぞかせています。子供たちはみんなでそろって歩くのにワクワクして、おしゃべりの果ては、言い合いになったり追っ駆け合いになったりして、「留め置きだぞ」と叱しられながら、北原天神社の社頭へ到着します。「このお社はな、この谷や村々を開かれた英えんじゃ。天神様というのは、菅す原は道み真ざ公とい ─宝安寺の道秀和尚に連れられた十数人木々の芽が銀色のふくらみを持ち、道端の129128

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