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第125号(令和元年8月)海外地方行政調査 ドイツ編2

[2019年8月29日]

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執務中の町長

阿久比町長 竹内 啓二 

秋の予感

皆さんこんにちは。

朝夕は気温が下がり、少しではありますが過ごしやすくなってきました。しかし夏の疲れも出る時期ですので、十分体調には気を付けてください。

前回に続きドイツ・フランス紀行をお届けします。

5月19日(晴れ)

残念ながら昨夜の夢に家族は現れてくれませんでした。「メールくらいあってもいいのに」と思いながら、朝食の前に部屋で湯を沸かし、日本から持ってきた粉末みそ汁を味わいました。「お・い・し・か・っ・た」

ドイツに来てからの食事は、ジャガイモが主体の炭水化物と、どでかいソーセージ・フランクフルト、アスパラガス、パン、甘いデザート。そして地ビールが定番でした。おいしいのですが、さすがに3日間続くと日本の味が恋しくなるものです。今回の視察には、お供として、みそ汁・種なし梅干・イカの薫製・たまりのあられを連れてきており、これらが私の口を慰めてくれました。

この日はドイツからフランスへの移動日でしたので、朝から荷物を整理し、フランクフルト空港へ向かいました。フライトまでの時間を使ってフランクフルト市内を視察したのですが、休日のため人影も少なく静かでした。ガイドいわく、休日は店も閉まっているところが多く、午前中はほとんど人通りがないとのことでした。

ドイツに来て気になっていたことの一つが労働時間です。子どものころから「日本人と同じくドイツ人は勤勉で能力も高くよく働く」と聞いていたのですが、就業時間がしっかり守られており、退社時間になれば多くの方が家路を急ぎます。就業時間内に責任ある仕事をして、就業後は家庭などプライベートな時間を大切にするライフスタイルを過ごしてしているように感じました。

ヨーロッパ屈指の商業と金融の都市フランクフルトでさえ、休日は静かで車の通りも少なく街全体が休んでいる感じを受けました。昼食をとったレストランも席数は多いのですが、私たち以外に客はおらず、現地の方からは、休んでいる街中をスーツを着て歩く私たち一行こそ異様に映っていたに違いありません。

ドイツ人の生き方は、グリーンツーリズムで見学したように個人の時間を大切にしており、自然な生活リズムの中で無理をせずに過ごしているように見受けました。近頃盛んに働き方改革が叫ばれているわが国ですが、人間にとって真の幸せな生活を問いただしてみなければ、働き方改革も名ばかりのものとなってしまうと思いました。


広場

レーマー広場

さて、市内で最初に訪れたのは、旧市街地の中心にある石畳が敷かれたレーマー広場です。石や木組みでつくられた切妻屋根の建造物が美しく建ち並ぶ広場の中心には、正義の女神ユスティシアの立つ噴水があり、中世の都市の雰囲気が見て取れました。しかし、この地は第2次世界大戦において焦土と化し、この街並みは戦後に建て直されたものと聞き衝撃を受けました。ここ数日ドイツに滞在していながら、戦争による敗戦国の苦しみがあったことや、復興に全力を尽くしていたことに全く気付かずにいた私はうかつでした。 

民族にとって受け継いできた街や文明・文化が、戦争によって破壊・壊滅されたとき、人間は何を思い、どうするのでしょうか。全てを失ったとき、果たして人は明日への希望を持ち、生きていけるのでしょうか。このような境遇に陥ったことのない私には分かりませんが、今日のドイツの繁栄を見る限り、見事に復興しヨーロッパに貢献している姿がここにあります。

このことからも、ゼロからの出発が人にもたらすものは、くじけない「勇気」と助け合う「愛と行動力」であると思えるのです。まさに生命力の偉大さに他ならないと思います。そして「過去から受け継いできたものを後世につなげたい、残したい」という自分たちのルーツを守る姿勢も、生きる力になっているのかもしれません。


像

天秤を掲げるユスティシア像

女神ユスティシアは、ローマ神話に出てくる正義の女神です。私がこの女神に心ひかれているのは、この像の姿にあります。目隠しをして立ち、右手に剣を持ち、左手に天秤を掲げています。裁判所など司法関係機関に飾られることが多いので、ご存知の方も多いと思います。

目隠しは「法の下の平等」を、天秤は「正邪を測る」ため、剣は「力」を表しており、法を守るために欠かせない象徴です。行政を預かるものにとっても通ずるものがあり、以前からブロンズ像が欲しくて、骨董市などで探しているのですが巡り合えていません。前にも町長室だよりで紹介させていただきましたが、町長机の上に小さな天秤をつり下げています。私は自然界のことも人間社会のことも、森羅万象がバランスを取ろうとして動いている気がしてならないのです。私が物事を決断する時には、より大局的に見てその時点でバランスがどちらに動き出しているのかを見定めてから決断を下しています。

話が脱線ばかりしてしまいますが、このレーマー広場に立つユスティシア像は目隠しをしておらず、美しい顔を私たちに向けていて驚きました。ガイドの説明によると、ユスティシアの像は素顔のものも多くあり、商業と金融の都市で栄えたフランクフルトでは、商いの先を見通す目の象徴として目隠しをしていない像を掲げたのではないかとのことでした。そうすると、金や商品を測る天秤の意味は理解できるのですが、剣は何を意味することになるのでしょうか。16世紀以降、平等の理念が広まるにつれ、目隠しの像が増え、司法界でも主流となったようです。

レーマー広場の女神の美しさに見入っていると、広場南に建つアルテ・ニコライ教会から大きな鐘の音が鳴り響きました。また広場の西側には、EU旗とドイツ国旗とフランクフルト旗を掲げた市庁舎があり、レーマー広場がこの街の中心であることが分かります。


市内

フランクフルト市内

その後街中を歩きゲーテハウスへ向かいました。文豪ゲーテ生誕の地であり、青年期まで過ごした家が博物館として公開されていましたが、この日は残念ながら閉館で見学できませんでした。「若きウェルテルの悩み」を高校時代に読んだことを思い出し、恋する苦しみに悶々とするウェルテルに我が身を重ねていた当時が青臭くもあり懐かしくもありました。訪れたことのないヨーロッパの地で、まさか青春時代を思い起こすとは、旅とは実に面白いものだと思いました。若い時は自分探しの旅に出て、老いては想い出を呼び起こす旅に出るのも良いのかもしれません。


像

ゲーテ像

家

ゲーテの家

午後はフランクフルト空港へ向かい、巨大なハブ空港を実感して、フランスのマルセイユへ向けて飛び立ちドイツを後にしました。

今回はドイツ編ということでここまでとします。次回はフランス編を報告したいと思いますので、よろしければご一緒にフランスの旅をしたつもりでお付き合いいただければ幸いです。


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