ページの先頭です

第102号(平成29年9月)曇りなき眼

[2017年9月12日]

ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます

執務中の町長

阿久比町長 竹内 啓二 

曇りなき眼

季節の移り変わり

皆さんこんにちは。

季節の移り変わりの速さには驚くばかりです。

先日までは肌を刺すような夏の日差しを強く浴びていたのに、庁舎食堂の「桜坂」から眺める芝生広場には、赤とんぼが数多く飛び交っています。

執務室で仕事をしていると外の変化に気付かないことがあります。そんな時に食堂で外を見ながらお昼を取っていると、季節を感じとてもリフレッシュできて快適です。

朝夕も大変過ごしやすくなり夜の寝苦しさからも解放されましたが、夏の疲れは確実に体に残っていますので季節の変わり目にはご用心ください。


久々の美術館

先日の日曜日(9月3日)に、碧南市の藤井達吉現代美術館で開催されている「リアルのゆくえ」展へ行ってきました。

日本の写実派画壇の明治から現代までの推移を、多くの作家の作品を通して、日本人画家が歩んできた西洋画の世界への道のりを辿っていました。

鑑賞の仕方にはいろいろあると思います。私自身でも、直感的にまたは生理的な好き嫌いで観てしまうときもあれば、筆使いや色使い、構図のバランスや絵の具の材質や油の量などの技法に目が行くときもあります。また、作品名や説明を読みながら、作品を仕上げた時の作家の境遇などから推測して「何を訴えたかったのか」など、作家の人物像などに思いを馳せたりと、自分なりに楽しんでいます。実に鑑賞というものは、複雑多義な代物であると思わざるを得ません。

絵画の場合は五感の内の「見る器官」を使って鑑賞することしかできませんが、行き着くところは「脳」なのか「心」なのか・・・私たちの肉体の「感じる」どこかに刺激が伝わり、感じ方が強ければ強いほど体の中に留まり、また増幅もしてゆくもののように思えます。美術作品を鑑賞する目的は、ただ「美しきもの見たさ」だけではなく、作品を通して作家を見ようとしていたり、もっと強烈な「刺激」を求めている潜在意識の中の自分がいたりして、美術館に足を運ばせているのかもしれません。

まあしかし、難しく考えることなく、人それぞれ「気ままな鑑賞」で良いということでしょうか。


碧南市藤井達吉現代美術館開催「リアルのゆくえ」展パンフレット

「リアルのゆくえ」展パンフレットに掲載された日本洋画界の先駆者高橋由一の作品「鮭」(右)

今回の展覧会では、写真と見間違うほどの写実の技法の素晴らしさはもちろんですが、その展示の仕方に素晴らしいものがありました。館長さんの企画力のお蔭でしょう。

作品の傍らに、日本洋画界の先駆者高橋由一(江戸~明治)の批評と共に、作家自身の言葉が添えられていました。

例えば

○「私にとってリアル(写実)とは真実の追及で永遠の生命力である」 奥谷 博

○「私にとってリアルとは、魂の世界を表すべきものである。私が考える芸術は流行ではなく、もっと精神の深いところ、いつの時代でも、見飽きないあせないものです。一番大切なのは、人間の魂で、その結晶したものが芸術だとおもいます」 野田弘志

○「動いているものの一瞬となると、絵の中に時間という要素が入ってくる」 上田 薫など。

高橋由一の絵は中学の美術教科書にも載っていた「鮭」が有名です。リアルすぎるこの絵が描かれたのは、明治の初期頃だと思われます。この時代に洋画の実物を目にすることは余りできなかったはずです。そんな時期にこの作品を完成している高橋の凄さと、当時の日本人の好奇心と探究心、そしてその器用さに驚きと憧れを覚えました。写実派の流れは大正期の岸田劉生に受け継がれていくのですが、彼の作品シリーズの「麗子像」は、おかっぱ頭に横長にデフォルメされた顔は、不気味さを漂わせ観た者の眼に焼き付ける強烈さがあります。皆さんも一度は教科書などで見たことがあると思います。今回は、「鮭」「麗子」を鑑賞したくて足を運びましたが、もう一つのきっかけがありました。

以前、岡山県の美咲町への視察があり、この町と岸田劉生との関わりを知ったのでした。美咲町は、「卵かけごはん」発祥の地で知られ、「卵かけごはん」で町おこしをしている岡山県内陸部の町です。資料によれば、明治5年に卵かけごはんを最初に食べた日本人は、岸田吟香という方で、この町の出身だそうです。

そこで美咲町は「卵かけごはん」による観光に力を入れているとのことでした。調べてみると、吟香さんはなかなかの人物で、新聞記者であり実業家であり、教育家でもあったそうです。若いころは湯屋の三助や下男の仕事をしたりして気ままな暮らしをしたようで「ままよのぎん」と呼ばれていたかと思えば、ジョセフ・ヒコについて英語を学ぶや、ヘボンと上海へ渡り「和英語林集成」の編集に携わり、ヘボンに教えを受けて目薬「精錡水」を製造販売し財を築き、清国との友好・貿易にも尽力した大変興味をそそる人物です。この人物の四男が、「麗子」の作者岸田劉生だったのです。

このことを知ってから、いつか岸田劉生の作品を鑑賞したいと強く思っていましたが、今回その念願がかなったわけです。


「吟香」と「劉生」の共通点を見いだせるのか楽しみでした。二人とも何かを作り出すための、体の芯から燃え上がるような強い意志と情熱と能力、そして行動力を持ち合わせていたに違いありません。社会の情勢を深く観察し、文字によって表す新聞記者としての「吟香の眼」と、写実する画家としての「劉生の眼」は、現実を真摯な気持ちで受け止める眼であり、その眼で見たありのままの姿を、体のどこかで感じとり、感動として世に問いかけていたようにも思えます。私も、先入観を持たずに、ありのままの阿久比町の姿と町民の暮らしを見る、彼らのような「曇りなき眼」を持ち、町民の皆さんと共に感じ、幸せな生活が本町で送っていただける政策を考えていきたく思います。今後もご指導ご支援をよろしくお願いいたします。

お問い合わせ

阿久比町役場町長の部屋

ご意見をお聞かせください

  • このページは役に立ちましたか?

  • このページは見つけやすかったですか?

(注意)お答えが必要なお問合せは、直接担当部署へお願いいたします(こちらではお受けできません)。


ページの先頭へ戻る

Copyright ⓒ AGUI TOWN 2010. All right reserved.