2011.02.15
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矢口地区の
背の高い木が何本も立ち並ぶ“鎮守の森”に足を踏み入れる。社などが建つ境内までの空間は昼間でも薄暗い。長い石段の先に、明るく照らし出されたスポットが見える。その空間に多くの神が
もともと、矢口地区の地蔵山にあったとされる社殿がこの森に移されたのが元禄七(1694)年。尾張二代藩主徳川光友から土地を得て社殿を修築したと記録が残る。
コケのむした石段を上り切り、一面明るい日の差し込む空間に入る。拝殿まで進む。扉の中央に小さな開口部があり、そこから奥の“本殿”がのぞける。
少し失礼して拝殿の裏に回り、コンクリートブロック塀に囲まれた本殿を、近くまで行き確認。町文化財調査報告『阿久比の建造物と彫刻』の中で、本殿の造営は慶応元(1865)年と紹介。構造は木造
春日造は神社本殿形式の一つで、世界遺産の「春日大社」本殿(奈良県奈良市)がその典型といわれる。屋根形式は切妻造・妻入りと呼ばれるもので、左右に曲線を描いて反り、正面には片流れの
ブロック塀越しに本殿を見る。庇を二本の角柱が支え、階段が続く。その奥は四本の丸柱が立ち、正面に扉、左右と後ろ面は板壁が覆う。屋根の上には千木と堅魚木も飾られ、春日造の定義とほぼ一致する。
「修学旅行で春日大社に行ったはずですが、社の形まで記憶にありません。シカにせんべいをあげて、手までなめられたことはよく覚えています」と友人。「僕は、みやげを買う貴重な小遣いを1,100円落とし、先生からお金を借りる羽目になって、それ以外のことは覚えていないね…」と、私はつらい思い出を語る。
人里離れ、森の中の一画に存在する神社は、どこか神秘的なものを感じる。この場所だけに日が当たる厳かな雰囲気は、世間でブームになっている『パワースポット』なのかもしれないと、勝手に想像を膨らませた。
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