2011.02.01
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高岡地区の観音寺を訪ねた。前日降った雪が寺の屋根に残り、解け出した雪は軒の先端を伝わり、滴となって地面に落ちる。「うぁ」。雪解け水が私の首筋を伝わる。思わぬ冷たさに自然と声が上がる。
観音寺は知多四国八十八カ所霊場の十七番札所。現在の本堂は大正13年から昭和元年まで3年かけて造られたもので、木造瓦葺
屋根中央には下の段から、「卍」の文様が浮き出た
「去年の夏、家族でディズニーシーへ遊びに行ったとき、アラビアンナイトの世界を演出した、『アラビアンコースト』という場所があって、宮殿の上にタマネギのような宝珠が乗っていたのを思い出したよ」と私が友人に話す。「宮殿は金銀財宝がたくさんあるところですよね」。友人の瞳が輝く。
住職は不在だったが、留守番をする女性に寺の「宝物」について尋ねてみた。
50年に一度しか開帳しない本尊の「十一面観音菩薩」。欄間などに施される
「彫刻以外は、毎日お寺にいる私たちでも見ることができませんから、とても貴重なものだと思います」と、女性がほほ笑む。
本堂正面で上を見ると軒には、所々参拝に来たことを示す「
白装束に身を包んだ老夫婦が境内を訪れた。2人は納経帳への朱印を済ませた後、赤札(巡礼20回)に住所・名前・願いごとを書き、箱に納めて仲良く「般若心経」を唱える。未来永劫に残したい素朴な光景だ。「うぁ」。雪解けの滴が友人の首筋に伝わったようだ。突然の大きな声が少しだけ2人の世界を邪魔してしまった。軽く頭を下げて寺を後にした。
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