広報 あぐい
2009.02.01
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あぐいぶらり旅 〜鉄道沿線を歩く(1)〜

シリーズ 阿久比を歩く 93

 



名鉄河和線の線路



阿久比駅に停車する特急電車


今回から新シリーズ「鉄道沿線を歩く」を連載します。

町内を南北に名鉄河和線の線路が走る。鉄道の沿線を阿久比町の南から北の端まで歩くことにした。

南端までは電車で行くことに決め、阿久比駅から半田口までの切符を購入。昨年の12月27日から阿久比駅に特急電車が止まる。時刻表には停車時刻が記されている。時計を見ると、間もなく特急電車停車の時刻。早速改札口を抜け、ホームへ急ぐ。

階段を上り切ったところで特急電車がちょうど到着。私も友人も初めて特急電車停車場面を見る。「…」。「…」。ありふれた日常に変化が起きた瞬間、何とも言えぬ感動を覚える。特急電車を見送った後、ホームで待っていた普通電車に乗り、半田口へ向かう。

駅を降り、県道阿久比半田線を北上して矢勝川沿いを歩く。川の上に架かる踏切にたどり着き、この地点から鉄道沿線の「ぶらり旅」をスタート。

鉄道沿線と言っても、常に線路に沿って道はない。線路が見える範囲で道を探し、北端を目指す。英比川と線路に挟まれた農道を歩く。線路沿いの土手は、薄茶色の枯れ掛けた雑草が冷たい風にさらされる。

植大駅を通過。西側には映画館とアピタ阿久比店が見える。繊維工業が盛んに行われていた時代、店舗が建っている場所は紡績工場で栄えていた。当時貯水タンクだったものを、映画館の名前を書いてオブジェとして使うのは、この場所に工場があったメモリアルにするためだと聞く。

電車が通過するときに、友人が乗客に手を振る。反応は鈍い。「ディズニーランド内を走る列車に手を振ると、みんなが笑顔で応えてくれますけどね……」と友人がぶつぶつ言うので先を急ぐ。

あぜ道や農道を歩き渡り、スタートして約1時間後、阿久比駅に到着。特急電車停車記念に写真を撮ろうと駅前公園で電車が来るのを待つ。公園で遊ぶ親子が寄ってきた。「珍しい電車が走りますか」と父親に尋ねられ、事情を説明。「この場所で“てっちゃん”が写真を撮っているのをよく見掛けるもんですから」と言葉を残して親子は離れていく。

写真を撮った後、「“てっちゃん”て誰?」と私が友人に聞くと、「世間では、鉄道マニアの人たちのことを 鉄っちゃん と呼んでますよ」。「そんな焼肉みたいな名前初めて聞いたよ」と言って友人を笑わせた。



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