広報 あぐい
2008.08.15
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あぐいぶらり旅 〜施設かいわいを行く (ふれあいの森)〜

シリーズ 阿久比を歩く 82

 



ホタル養殖場



シンボルモニュメントの時計台

夏の日の午後、ふれあいの森周辺にぶらり旅に出掛けた。

ふれあいの森は、青空の下、子どもから大人まで1日ゆっくりと過ごせる、「憩いの場」である。

管理棟を通り過ぎると、高さ7mのシンボルモニュメントの時計台が見える。午前10時、正午、午後3時、午後5時になると、からくり時計が作動する。時計台の中で妖精の人形が回り、メルヘンチックな世界を奏でる。午後3時、『恋は水色』の曲とともにからくりが動き出した。立ち止まってしばらく眺める。

ふれあいの森の中央は、芝生広場が広がる。友人と2人で芝生の上に寝転がる。開放感いっぱいで気持ちがいい。目に入るのは青い空と入道雲。子どもたちはボール遊びを楽しむ。クマゼミの鳴き声が絶好調。

「松尾芭蕉の句で、〈何とか 何とか 蝉の声〉があったよね。上の句なんだっけ?」。と友人に尋ねる。「〈古池や〉じゃなかったですかね?」。「えっ……。芭蕉の句には違いないけどそれは違うな」。芝生のチクチク感が気になってきたので、上の句を思い出せないまま場所を変える。

デイキャンプ場では、炊事場とバーベキューが行える炉が設けてある。「今度家族でバーベキューやりましょうよ」。「君はいつも調子いいこと言うけど、実際に企画しないからなあ」と私が言うと、「企画しますよ。指切りげんまんしましょうよ」。友人と指切りをして約束をしたが、いつの日になることやら。

まだまだふれあいの森敷地内は広い。子どもたちの喜ぶ遊具も多い。全長54.8mのローラー滑り台。童心に返り滑ってみる。大きな声を出して滑ってきたので利用客が私たちに注目。少し恥ずかしい思いをしたが、心地よい風を感じることができた。

ホタル飛びかう住みよい環境づくりを目指して、調査研究を行うための「ホタル養殖場」もふれあいの森の中にある。毎年6月下旬には観察会を開いている。今年も観察会の後に、多くの卵が発見されたことを担当者に聞いた。来年もホタルの光が私たちを癒してくれるだろう。

セミの声は鳴き止まない。友人が突然「〈閑さや 岩にしみ入る 蝉の声〉だ」と叫ぶ。「そうだよ」。のどの奥に刺さった、魚の小骨が取れたときのように気分が晴れる。パターゴルフを楽しむ家族を横目に、ふれあいの森を後にした。



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