広報 あぐい
2008.05.01
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あぐいぶらり旅 〜境界線を行く (3)〜

シリーズ 阿久比を歩く 75

 



境界の西は開発が進み、
遠くには宮津団地



シダが生い茂る山道


前回まで進んだ場所から地図上に道はない。雑木林が広がる付近に境界が存在する。前に進むことができないため、屋郷池の脇道を東へ抜けて半田市の方から回り道をする。

養鶏場の前で番犬にほえられる。「うちの愛犬は、花火や雷が鳴ると、よくほえて、人が来るとほえずに寝てる、まぬけな犬なんだよね」。友人は「飼い主に、似るって言いますよね」と舌を出す。

畑で仕事をする女性に「阿久比の方へ行こうと思っているんですが」と道を尋ねる。女性は前方の道を指して「昔は行けたけど、今は途中から歩ける道じゃないよ」と教えてくれる。

「行けるところまで」という気持ちで前に進む。「僕の好きだったスポーツ選手が引退のときに『この道を行けばどうなるものか。危ぶむなかれ。危ぶめばそこに道はなし。迷わず行けよ。行けば分かるさ』と言っていたけどまさにその心境だなあ」と私が友人に話し掛けると、「危険なことはやめましょう」と冷静な答えが返ってくる。

人里から少し離れた道の途中の民家から、西の方角を眺めると、宮津団地の建物が遠くに見え、目の前では宅地開発が進む。

この民家よりも先は、行き止まりのようだ。私たちがうろうろしているのが怪しいと思ってか、家の中から男性が現れる。

事情を話す。「わしの住んでいる場所は半田市。この垣根からは阿久比町だよ。ついこの前までは山だったのに、すごく見通しがよくなったなあ。ここから先は無理だよ」。友人が言うように危険なことは避け、再び回り道をする。

境界部分から離れてしまった。このまま進んでしまっては、「境界線を行く」にはならない。かなりのロスにはなるが上長根池まで行き、先ほど話を聞いた男性の家を確認するため、池の横の山道を南の方へ歩く。

清水が湧くのか、道はぬれて足場が悪い。脇の土手には青々とシダが生い茂る。しばらく歩いた高台から男性の家が見えた。「まあこれで良しとしよう」2人の気持ちが一致。来た道を引き返す。

「すべって転ぶなよ」と言った矢先、私が水たまりにはまり、友人は2回転んだ。頑張って県道西尾知多線まで歩を進めた。

次回につづく。



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