広報 あぐい
2007.09.15
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あぐいぶらり旅
〜ふれあいマップを歩く(史跡めぐりコース)〜

シリーズ 阿久比を歩く 60

 

史跡めぐりコース
 
町教育委員会作製の
「ふれあいマップ」


宮津熱田社常舞台
正面上部の「力神」

町教育委員会が作製した『ふれあいマップ』の各コースをぶらり旅することにした。今回は「史跡めぐりコース」を巡った。

東部小学校からスタートを切る。朝方の雨で地面が少しぬれている。友人が「わが母校ですよ」と言いながら、自慢げに校歌を口ずさむ。時より吹く風は秋の風で気持ちがいいが、彼の歌声はいまいち。

民家の間の細道を通り、第2チェックポイントの谷性寺へと向かう。寺に着く。境内はとても静か。奥の墓地の方から線香のにおいが漂う。六地蔵が穏やかな顔をして立ち並んでいる。軽く会釈をして次へ進む。

少し歩くと、第3チェックポイントの光西寺の屋根が見えてくる。規則正しく並べられた瓦と反りは立派で美しい。寺の山門をくぐる。右手は東部保育園。普段は元気な子どもたちの声でにぎやかな園も、今日は休みでひっそりとしている。ツクツクボウシの鳴き声だけが境内に響く。

鐘楼堂横に滑り台がある。友人の目の色が変わり、瞳は子どものように輝いている。満面の笑みを浮かべ、滑り台に駆け寄り、私の顔色をうかがう。「はずかしいからやめとけよ」と目で合図を送る。友人は滑るのをあきらめ、「子どもはどうして滑り台で遊ぶのが好きなのですかねえ」と私に問い掛ける。「君が一番分かっているだろう」。「……」。(笑)

第4チェックポイントの熱田社は光西寺のすぐ西隣り。熱田社に立ち寄る。常舞台が残る。昭和30年ごろまで村芝居が盛んに行われ、近在の人々が熱心に観劇を楽しんだ場所である。常舞台正面上部に1対の「力神」が境内を見張る。眼光するどく、寄木彫りの彫刻はダイナミックで力強い。

樹齢は不明だが、安永3(1774)年に熱田社が建て替えられる際、植樹されたと言われている2本の(くすのき)(町指定天然記念物)が大切に保護されている。むき出しになった楠の根っこ付近でアリたちが、自分の体よりも大きな昆虫の亡き骸を一生懸命運ぶ。自分たちの食事として巣まで運んでいくのだろう。「頑張れ」と2人で声援を送る。「力神」も身を乗り出して応援しているようにも思えた。

次回へ続く。



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